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エディット・ピアフが歌うSEに乗せて悠然と登場した4人を、熱狂的に迎える超満員のオーディエンス。直後、ヴォーカル・志磨の「ウォー!」という怒号で、ついさっきまでSPANK PAGEの演奏による透き通った空気が充満していたWING TENTは、あっという間にどす黒く染め上げられてしまった。RIJ初参戦となる毛皮のマリーズ。だが、1曲目の“LOVE DOGS”を聴いただけで、その破壊力と危険度はハンパないということがわかる。粗削りなガレージ・ロックとしゃがれた歌声が、背徳的で毒々しい世界を何の迷いもなく描き出していくことの、恐ろしいほどの気持ちよさ。日々マイノリティとして生きるしかないロックンロール・リスナーが、もっとも渇望してやまないリアルな衝動を、毛皮のマリーズはとてつもない純度で体現しているのだ。 5曲目の“ビューティフル”に入る前、志磨はオーディエンスにこう呼びかけた。 「ボーイズ! 何か悩んでいることがあったら、カッコいいほうを選べ。カッコいいか悪いかは、ロックンロールに訊け。ガールズは、そんなボーイズの背中を押してやれ!」 やっぱり我らが信じるものはすべてロックンロールの中にある。そう心から思える最高のライヴだった。本当に頼もしいバンドだな。(齋藤美穂)