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じつは「TEENS ROCK HITACHINAKA」の優勝バンドのフロントマンとして、3年前にROCK IN JAPANに出演を果たしたことがある清 竜人。その破格の才能に大きな注目が集まり、今年、期待の新星としてデビュー、ひと回り大きくなってひたちなかに還ってきた。ライヴはauのCMソングとしてもお馴染みの“Morning Sun”で幕を開ける。そう、この声だ。ちょっとスモーキーで、しかし甘さのある声。それは、清 竜人というアーティストの世界観を体現し、無限の奥行きを与えている。アコギを片手に、内向きのエモーションをゆっくりと外に広げていくように、じわじわと彼ならではの世界観を積み上げていく。続いて、軽やかなアコギのシャッフルで昼間のシーサイド・ステージの明度をぱっと上げる“ジョイフル”を披露すると、「はじめまして」と恥ずかしそうに(?)挨拶。そして、「まだ高校生のときに出させていただいたのですが……感謝の気持ちを込めて歌いたいと思います」と言って“素晴らしい”を披露する。駆け抜けるようなアッパーなリズムに日常の風景が乗るのだが、驚くべきなのが、こういう歌をやるときにありがちな、過度なエモーションとか安っぽさがないのだ。まっすぐで知的な観察力が、繊細なエモーションのフィルターを通して力強く響き渡り、ぐいぐいと聴き手の心に入り込んでくる。そして、どっしりとしたバンド・サウンドに支えられた新曲“ヘルプミーヘルプミーヘルプミー”では、より普遍的な歌世界が広がる。「最後は一人でやりたいと思います。3年前に出演したときも最後にやった、思い入れのある曲です」と、ピアノで“違う”の弾き語りで締めくくられたライヴは、いつまでも浸っていたい余韻を残していった。(羽鳥麻美)