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B-DASH~ビークルときてすでに絶好調、サウンド・チェックで海北本人が登場してのマイク・テストだけで異常な盛り上がりを見せるここレイク・ステージ!! しかし定刻通りに登場したロスト・イン・タイムが1曲目に鳴らしたのはなんと“列車”――「あの頃は よかったなんて 言いたくは なかったのにな」という必殺フレーズで誰もが後悔と涙のどん底に突き落とされる、悲しき名曲である。

きた。真っ赤に染まったレイクの空気を蒼く変え、完全に自分たちの世界に引きずり込んでいる。そのただならぬ空気を感じて次々と人が集まってくる。そして大きく深呼吸のあとで繰り出したのは、“列車”と同じくシングル『群青』からのナンバー=“約束”!! 

とかく海北の悲しきロック詩人としての側面がクローズアップされ、バンドとしてのダイナミズムに関してはライヴごとにアップダウンの激しいロスト・イン・タイムだが、今日の3人はかつてないほどバンドとしてがっつりきてるように見える。そこへ「君の流した涙のその理由も いつか忘れてしまうんだろう」である。これで泣かずにいられるか!! ああそうさ危うく泣きかけたさ俺も! 

そんなキちゃってる観客を「ロッキング・オン・ジャパンのライヴ・レポートが正しいわけじゃないんです。テレビが正しいわけじゃないんです。ここにいる、あなたたちが正しいんです!」という前のめりなMC、もとい「語り」で引っ張りつつ、さらに“ココロノウタ”“悲しいうた”へと導いていく。

現在13:30、陽差しはもろにメンバー3人に降り注いでいるが、「真夏の炎天下に、冬の夜明けの歌を歌います」と“北風と太陽”へ。思い出の中の、手をかけるだけで切なくて苦しくて後ろめたい箱をひとつひとつ開けていくような彼らの曲は、明らかに過去5年のロック・イン・ジャパンで誰も開いたことのないページを書き足している。

続いてスローなイントロから一転、激情の彼方へ駆け上がる。“ヒカリ”だ。「次で最後の曲です」。湧き上がる「えええええ!?」の声を「僕も早くお酒、のみたいです」「楽しんでます!」というMCで爽やかな笑いに変えた後で、ゆっくりと鳴らすラスト・ナンバーは“昨日の事”。「きょうはああああ、なにもおおなかったああああ!!」という海北の魂の絶唱が、雲ひとつないひたちなかの空に響き渡る。そして「さよなら……」という呟くような歌声。大成功だ。たった7曲とは思えない、切なさの塊がごろっと転がりだしたような、爽快なまでに濃ゆいアクトだった。(高橋智樹)

1.列車
2.約束
3.ココロノウタ
4.悲しいうた
5.北風と太陽
6.ヒカリ
7.昨日の事