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LAKE STAGE3日間の大トリは、この1年の間に、ロック・シーンにおけるその存在の大きさが、最も大きく変わったバンドだ。今最も、ライヴのチケットがとれないバンドでもある。「この瞬間を待ってた」「遂に会える」「ここで会ったが百年目」などなど、ものすごく強い期待で――いや、もはや「期待」というレベルを超えた「念」のようなものが、立錐の余地もなく膨れ上がったLAKE STAGEエリアに立ち込めている。

 SEもなく、4人が出てきた。始まった。その瞬間に、念が爆発した。うわ。すげえ。これがRADWIMPSか。なんだこのすごい音は。とんでもない歌は。すいません。嘘つきました。初めて観るわけじゃありません。何度も観ています。が、そのグルーヴのすごさ、楽曲のすごさ、野田のカリスマ性のすごさ、あの超独自なサウンドスタイルを現実に音にしていく桑原(g)と武田(b)と山口(ds)のプレイヤーとしてのすごさに、その「爆発する念」のすごさが加わって、もう有史に残るすさまじいライヴになっているのだ。後半、“俺色スカイ”“05410-ん”“いいんですか?”で、止まらなくなる大合唱。曲が終わると野田が、「ああっみんなあれ見てあれ!」とスタンド後方を指差すと、いきなり照明が消えてまっ暗になり、再び明るくなった時ステージにいたのは味噌汁’s(鼻眼鏡と味マークのTシャツを装着したRADWIMPSの別バンド)。ポリティカルでどシリアスで、でもひたすらアッパーな名曲“ジェニファー山田さん”をぶっ放して、4人はステージを下りた。終わらない。終わるわけがない。RADWIMPSのライヴ恒例、アンコールを求める手拍子の代わりにオーディエンスがエンドレスで歌い続ける“もしも”が響きわたる中、再登場。“ヒキコモリロリン”で1万人を左右に振らせるだけ振らせたあとで、野田は今の気持ちをこう語った。

「ありがとう。こんなに純粋に『今死んでもいいな』と思うことはなくて。でも生きてたいと思うし……生きてて、一回でもこんな気持ちになれたらいいな、っていう気持ちに、今なっていると思います。あの、すごい好きな人がいて、その人とずっと一緒にいようと思ってるんですけど。その人がいなくなりそうになった時に、すごくいろんなことを考えて、その時に作った曲を歌います」。もちろん“有心論”。観ていた全員感極まってたけど、一番感極まってたのは4人だと思う。(兵庫慎司)