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SOUND OF FOREST 3日間のラスト、さっきのCaravanの心地よさをかき消すように、ステージに不穏に立ち上るスモーク。そして、その奥から照らすライトに浮かび上がってきた髭(HiGE)の5人が――全員、なぜかKISSのフェイスペイントをしている! と、驚くヒマもなく1曲目は“ダーティーな世界(Put your head)”。歌いながら、「僕はぁ、みんなのことがぁ、だぁぃ好きなんだよ」と繰り返し煽るフロントマン須藤の言葉は気持ち悪いのに、フリーキーなリフとダンスビートが叩き出す肉体的なグルーヴの中で、なぜかゾクゾクと快感に作用する。いっせいに踊りだした観客はヒートアップする一方で、中盤の“ギルティーは罪な奴”にいたる頃には、さらに期待に満ちた視線がギラギラとステージに集まってくる。ロックのふしだらさと危なっかしさを、こんなふうに操縦できるバンドは少ない。“ロックンロールと五人の囚人”で拳を突き上げ、“白い薔薇が白い薔薇であるように”で暴れた挙句に観客の手をがっちりと握り、踊りに踊らせた果てのアンコールは“ハートのキング”! 「確かなものなど何もない」と繰り返し何度も歌われるフレーズが、逆にこのステージ、このライヴで得たものの大きさを感じさせる、そういう終幕だった。(松村耕太朗)