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間違いなく1日で最も酷暑の時間帯である。しかし頬をつたる汗すら心地よく感じるような、吹き抜ける一陣の風のようなオープニングの“雨あがり”だった。GRASSの空気の「色」が一瞬にして変わったのを感じる。周りの環境も前後のエントリーも関係なく、真正面から彼の存在だけと向き合うような、まじりっけのない音楽体験。レミオロメンの歌には、そんな場を用意する強さと説得力があるように思う。

 “RUN”の早急なバウンスに心躍らせながら、彼らと共に蒼く涼やかな景色の中を駆け抜けていくような爽快感。しかし続く“蛍”と新曲の“恋の予感から”は一転して、駆け抜けるのではなく心の中心に留まってじんわりと成長していく壮大なナンバーだ。この静と動のコントラストが素晴しかった。そして後半戦は誰もが知っている大ヒット・チューンが惜しげもなく畳み掛けられていく。“南風”では数万の手が見事なウェイヴを描きフィールド全体に広がり、その景色を目の当たりにした藤巻(Vo&G)はたまらず破顔一笑。“明日に架かる橋”、“スタンド・バイ・ミー”、そして“アイランド”と、彼らの生み出すハピネスがどんどん増殖・伝染を繰り返していく。レミオロメンの歌の構造は嫌味なほど巧みで、完璧だ。でも彼らはそれを高みで誇るのではなく、聴く人たちと共に分かち合える喜びを歌う。笑顔がいつまでも消えない、そんなステージだった。(粉川しの)