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10:58 レミオロメン、瑞々しき初陣
8/3 12:30 UP

 今日のレイク・ステージの前半戦はいい意味でスリリングな展開になりそうで、個人的にも非常にわくわくしています。なにしろ、トップ・バッターをつとめてくれるレミオロメンから始まって、ART-SCHOOL、Syrup16g、MO’SOME TONEBENDERという4バンドは、6月にジャパン・サーキットで全国を廻ってくれた面々であり、レミオロメンはまあ別としても、美しくも邪悪でドローッとしたヴァイブスをこの端整なレイク・ステージに撒き散らしてくれそうだからです。そして、パンフレットをお持ちの方はご自分の目で確かめて欲しいのですが、Syrupの五十嵐に至っては「晴れたら、出ない」と直筆で明言しています。いや、出てもらわないと困るんですけれども!
 まず、ステージに弊社・鹿野が登場。「3日間来てくれて疲れている人も、元気でピチピチな人もいると思うけど、横にいる人と自分とのリズムが違ってもお互いに尊重しあって」と、お客さんに呼びかける。鹿野も言っていましたが、明日からは普通の何気ない日々が続いていく……だからこそ今日は思いっきり楽しんでほしい、でもくれぐれも無理をせず、今日は昨日にも増して暑いので、しっかり水分を補給して、休みながらスパークしてください!
 レミオロメン、まだご存知ない方も多いかもしれないが、JAPANが思いっきり大プッシュしている超破格の新人、大学を卒業したばかりの若くて初々しい3ピース。1曲目の“電話”は今月リリース予定なのだが、既にライヴで演奏されるたびに感動の嵐を巻き起こしている、この上なく美しく叙情的なメロディを持つ佳曲。レイク・ステージ裏の湖のさざなみのように美しく静かな藤巻のギター・アルペジオで幕をあけ、鼓動のように打ち続ける神宮司のバスドラの鈍く重い響きと安定感のある前田のベースが、吸い寄せられるように重なっていく。遠く離れた恋人へのひたむきな思いを綴った言葉が、静けさと激しさが混在するメロディと最高のハーモニーを織り成し、ドラマティックなレミオロメン・マジックを立ちあがらせていく。気持ちいい。素晴らしい幕開けだ。右足でしっかりとふんばって、左足でずっとリズムを刻み、お腹の底から澄んだ声を思いきり出し、頬を上気させている藤巻の生真面目な姿が胸を打つ。お客さんも頭上に両手を掲げて手拍子し、温かく応えている。レミオロメンの音楽は、目だって音がでかいとか激しいとかいう攻撃性はまったくないのに、聴く人の心の中で密かに感情の大爆発を起こさせる。お客さんの反応を見ていても、大騒ぎするわけではなく頭上に掲げた両手で手拍子するなど穏やかではあるのだが、個々人がそれぞれ曲の世界に入りこんでいて、曲が終わったときにはっと我に返ってどよめく、というような、深い反応を引き起こしているように感じる。
 鹿野も冒頭の挨拶で言っていたように、去年の今ごろはバンドを続けるか否か迷っていたという。「こうしてステージに立ってると……。みんなありがとうね、かなり嬉しいです」という藤巻のぽつりと呟くようなMCが胸に響いた。“まめ電球”も“朝顔”も“雨上がり”も、ほんとに素晴らしかった。どの曲もメロディが信じられないほど美しくてめくるめく展開があり、複雑なのにあざとくなくて、気持ちよくくちずさみ、大声で歌いたくなる親しみやすさがある。実に、恐るべきメロディメイキング力! バンドとしてのアンサンブル力もぐんぐんついてきて、頼もしいライヴでもあった。
 MCのおとぼけぶりもかわいらしくて笑ってしまった。パンフレットのコメントでも「もう会場へ徒歩で向かってます」と書いていたベースの前田がかなーりいいキャラなのだが、本番のMCで藤巻が「朝4時起きで、3人乗りの自転車で来ました」とかましていた。「脱水系に気を付けてください」とも語り、今日は藤巻がお笑い担当? と思っていると、ややぽっちゃり目の前田がすかさず「僕は余ってるから大丈夫!」と締めてお客さんを沸かせる。「全部持ってかれるんだよな!」と藤巻は悔しそうだったが、大丈夫、3人ともキュートで面白い!
 気持ちいい時間をありがとう、レミオロメン。(大前多恵)

レイク・ステージの近くには木陰が沢山あります。
辛いときはここで休んで