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スタートの15分以上前からステージに出てきて、自らサウンドチェックをしていたbonobosの面々。ステージ直前になっても引っ込まない。こういうユルい感じも含めて、この時間のこのステージに彼らほどぴったりのバンドもいないだろう。そして15時55分、改めてステージに登場してきた5人。「楽しんでる? もっと楽しくしてやるぜ!」という蔡(Vo/G)の掛け声をきっかけに、1曲目がスタートである。“THANK YOU FOR THE MUSIC”だ! 自然に手拍子が巻き起こり、それはやがて木々に囲まれたエリア全体をやさしく包んでいく。歌われているのはなんでもない日々のこと。それをダブのリズムと透明感溢れる声で磨きあげて、キラキラと輝く宝石に仕立て上げてしまうのが彼らの真骨頂。それってフェスと一緒じゃないか? 音楽の力を借りて、毎日を少しだけ違ったものにしてしまう。フェスという場のもつ魔法と、bonobosというバンドの魔法。少しずつ夕暮れが迫るサウンド・オブ・フォレストでふたつの魔法が出会い、生まれた奇跡。“Standing There~いま、そこに行くよ~”で迎えたフィナーレの美しさは、そう呼んでもいいような気がした。(小川智宏)