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夕闇の近づいたSOUND OF FORESTのトリに、bonobosがやってくる。それだけで、ピースフルでちょっと切ない、何色にも変わる光に身を包まれるような至福の時間が約束されたと思っていいだろう。その期待どおり、メンバー紹介に続いての1曲目“ファンタスキッス”から、フロントマン蔡忠浩の柔らかな歌声が、美しくスムースなメロディに乗って木々の間に染み渡っていく。パーカッシブなリズムが気持ちいい“光のブルース”からレゲエ調のバラード“あの言葉、あの光”へ。そして新曲“Slower World”の重層的でダンサブルなグルーヴが響くと、うっとり陶酔していたフィールドの空気がさらに高揚していく。“Standing There”の「そばにいるよ」というメッセージや、“Someway”の「ありのままがダイヤモンド」という言葉。そんなピュアで前向きな感情をするりと心の奥に届けてしまうような、不思議なエネルギーが今のbonobosの音楽にはある。そしてアンコールは名曲“THANK YOU FOR THE MUSIC”! フィールドいっぱいの手拍子と大合唱が、彼らと観客をつなぐ愛情の濃さを証明するような、とても温かいステージでした。(松村耕太朗)