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ソリッドのグリーンのトップに、ソリッドのブルーのスカート、そして黒いコンバース・オールスターのハイカットという極めてシンプルな服装でGRASSに登場した木村カエラ。すでにこのステージに立つのは3回目(奥田民生のゲストとして登場した05年を数えると4回目)ということで、余裕どころか、貫禄さえも見せつけるステージだった。シンプルな服だからこそ、自由奔放にステージをピョンピョン飛び跳ね、“リルラリルハ”や“Samantha”などヒットチューンを連発して会場を盛り上げつつも、まったく音程を外すことなく、とにかくその圧倒的な歌唱力を立たせた、ある意味、すごくストイックなパフォーマンスこそ彼女のステージの本質。「キョンシーに変身した渋谷陽一にホテルの部屋で追いかけられる」という、ロッキング・オンの従業員のこっちとしてはなんともおぞましい夢を語ったり、「聴いてチョンマゲ」って紹介した超ロックな新曲“マスタッシュ”でギターをかましたり、“Circle”ではお馴染みのタオル回しでGrassをぎっしり埋め尽くしたファンを最後まで楽しませてくれた木村カエラ。しかし、終わってからもっとも心に響くのは、やっぱり彼女の たくましい“歌声”。ライヴの本質を思い出させてくれる素敵なステージだった。(内田亮)