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薄暗がりのステージから太鼓の連打が放たれ、エレクトリック・サウンドが一気に周囲を飲み込む。そのただ事ではない空気に刺激され、猛烈な手拍子がお客さんの間から沸き起こった。やがて、眩い光に包まれたステージ上。そこには岩寺基晴(G)と草刈愛美(B)が力強く太鼓を連打している姿が浮かび上がった。山口一郎(Vo・G)も登場し、ますます強力な音像が渦巻き始めたLAKE STAGE。誰も彼もが圧倒的なトランス状態へと誘われながら、本日のトリ、サカナクションのステージは“21.1”からスタートした。
「用意はいいか~!」という山口の呼びかけで2曲目「明日から」へと突入したが、ビッチリとフィールドを埋め尽くしたお客さんの踊る姿が凄まじく美しい! 曲が進む毎にステージ上のサカナクションと、お客さんが共に作り上げる風景と高揚感の輝度は、果てしなく上昇していった。特に後半の“シーラカンスと僕”“ネイティブダンサー”“アルクアラウンド”“アイデンティティ”という、歓喜の叫びを上げ続けずにはいられないナンバーの連続技が生み出したあの空間は、とんでもなかった。両腕を掲げたり、ゆっくりと身体を揺らしたり、共に歌ったり。お客さん各々、思い思いに心を解放して音楽を感じていたあの光景は、サカナクションのメンバーにとっても生涯忘れられない幸福な体験となったのではないだろうか。
本編は“ナイトフィッシングイズグッド”で終了したが、圧倒的なお客さん達の歓声に迎えられながら、再登場したサカナクション。「さっきダイノジさんのうどん屋さんへ行こうと思ったんですけど、場所が分からなくて行けませんでした。これが終わったら、みんなで行こ!」という山口の素朴なMCが和やかな空気を誘う。そして、始まったアンコールの曲は“三日月サンセット”。強力なダンサブルさと柔らかな叙情性に思いっきり包み込まれる恍惚を味わったクライマックス! 本当に素晴らしいライヴだったと思う。(田中大)