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何だか厳粛さもある独特なムードと歓声の中、あらわれた5人。オープニングのトラックから「ROCK IN JAPAN FESTIVAL!」の声が響いた瞬間、ステージ前方に白いスモークが噴き出し、山口一郎(Vo/G)が射るような強い視線をGRASS STAGEに投げた。彼ららしい鮮烈な幕開けだ。 そこからなだれ込んだ1曲目の“ライトダンス”では、浮遊感漂う気持ちいい音の波の中を草刈愛美(B)のぶっといベースラインが炸裂。ステージ前方でクールに煽る姿がカッコイイ!続く“セントレイ”ではイントロからスタンディング・ゾーンに大ジャンプが起こり、鮮やかなメロディが青い空に突き抜けると、曲の合間に「パパン、パン、パン、パン」のみんなの手拍子もバッチリ決まった。 「どうも、サカナクションです。みんな暑くない? 大丈夫? 最高だね。わたくしごとなんだけど、今朝、新曲の歌詞ができて。すごいスッキリしてるんだよね。今年は悲しいこととかもたくさんあるけど、今日は全部忘れて楽しんでいってください!」という山口のMCにオーディエンスも嬉しそう。  “『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』”ではシンプルなビートと真摯な歌声が真っ直ぐに届けられ、大きなうねりを生み出した。サビでの盛り上がり、途中でキラリと注がれる鍵盤の音色にも大歓声が起こるなど、リリースされたばかりの新曲だとは思えないほどのコミュニケーション。彼らのサウンドが運んでくる、とびきりの快感が1曲ごとに素敵な思い出となって刻まれていくようだ。 そして山口の感極まった表情が印象的だった“ルーキー”では、コーラスもビートもお客さんのハンドクラップも全てが重なり合って壮大なハーモニーを生み出す。更なる高みへと上り詰める“アイデンティティ”をラストに、サカナクションにしか生み出せない祝祭空間はGRASS STAGEに大きく花開いた。汗だくの山口が客席に手を振り返す。彼らがステージを去った後も、大きなどよめきが残るほど圧倒的なステージだった。(上野三樹)