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今日もとにかく暑い! そんな中SOUND OF FORESTは、心地よい木陰とグッド・ミュージックを求める観客でいっぱいになっている。そんな中、「暑いなぁ、もう!」とステージに登場したのは、スタジオジブリの鈴木敏夫氏。「レッツ・ゴー!」という号令に続いて、柔らかなケルティック・ハープと透きとおるような歌声が森の中いっぱいに広がっていく。そう、ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌と音楽を手がけたことで一躍話題となったフランス出身の歌姫、セシル・コルベルの登場だ。すでに映画を観た人であればお馴染みの“荒れた庭 / The Neglecter Garden”を美しく響かせたところで、「アリガトゴザイマス。キョウモアツイデスネ」と、たどたどしい日本語で挨拶をするセシル。観客からは温かな拍手が送られる。
続いて“床下の我が家 / Our House Below”“翔の悲しみ / Sho’s Lament ”“はじめての”借り” / My First Borrowing”と、『借りぐらしのアリエッティ』をモチーフにした楽曲が続く。時折ステージで目を合わせながら、柔らかなアンサンブルをそっと、優しく紡いでいくバンド・メンバー。それはまるで、近くで音楽を聴いている小人たちをビックリさせないようにと気を遣っているよう。木陰に座ったり寝そべったり、思い思いの格好でくつろぐ観客たちも、その様子を息を潜めて見守っていた。そのまま流れるように“となりのトトロ~風のとおり道”へ。ケルティック・ハープの音色により、さらにメルヘンチックに磨き上げられたオリエンタルなメロディは、ゾクゾクするほど美しかった。
“グッバイ・マイ・フレンド / Goodbye My Friend”を軽やかに奏で、ラストは映画の主題歌“Arrietty’s Song”。牧歌的で幻想的なフォークロア・サウンドで会場をふんわりとした空気で包み込み、30分のステージを終えた。今年はスタジオジブリとのコラボレーションにより、会場のあちこちでジブリキャラクターのオブジェを見ることができる。もしかしたらオブジェに紛れて本物のアリエッティがどこかに潜んでいるかもしれない……。そんな気持ちにさせられる、とても美しくて繊細なライブだった。(齋藤美穂)