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「ありがとうございます! うれしい!! うわ~ぁ」と、ステージを待ち受けていたお客さんからの盛大な歓声を浴びて、喜びの声をあげる溝渕 文――昨年、ロッキング・オンの音楽情報サイト「RO69」のアマチュア・アーティスト・コンテスト「RO69JACK」にて優勝、ROCK IN JAPANにも初出場を果たした注目の女性ソロ・シンガーが、2年連続でひたちなかに登場だ。「よろしくお願いします!」と元気いっぱいに告げて、オープニング・ナンバーの"ネテモサメテモ"へ。スタンド・マイクを握り締め、鮮やかなスカイ・ブルーの衣装をまとった身体を揺らしながら、ソウルフルな歌声を響かせる溝渕。空は抜けるような青空で、バックでは4人のバンド・メンバーが、玄人はだしのサウンドで彼女をしっかりとバック・アップする。続く"シンデレラ"では、アラニス・モリセットを彷彿とさせるような、伸びやかにして豊穣なヴォーカリゼーションを披露。ステージ前のお客さんはリズムに合わせて身体を揺らしたり、「ア~!」とコーラスを口ずさんで演奏の輪に加わったりして、思い思いにこの瞬間を楽しんでいる(ときおり海風が吹き抜けて心地いい!)。そんなフロアに向けて、「あっついですけど、みなさん、よろしくお願いします! うれしい!」とご挨拶。そして、「次はバラッドです――」と告げて、静やかに、心を込めて"KANTERA"を熱唱。情感豊かに歌われるメロディを誰しもがじっくりと聴き入り、「去年『RO69JACK』で呼んでいただいて、すごいびっくりして、その後知恵熱が1週間出たんですけど(笑)」と、昨年の思い出話で会場を和ませもする溝渕。そして、「次の曲は、大好きな曲のカバーです。たぶんご存知の方もいらっしゃると思うんですけど――」と届けられたのは、ザ・ブルー・ハーツの"青空"! 無垢で、ストレートで、切実な溝渕の歌声が、名曲に新たな息吹を与えていた。「次が最後の曲です。本当にみなさん、いい笑顔を見せていただいてありがとうございました。忘れません!」と別れの言葉を告げて、最後は力強く"二十六"を届けてフィニッシュ。天にも届きそうなハイトーンの歌声は、その先に広がるより大きな世界を映し出すようだった。(奥村明裕)