

先ほどまでの陽射しはどこへやら。暑さが和らいで、さわさわと涼しい風が吹きはじめたSEASIDE STAGE。そんななか、サウンド・チェック時からあたたかな歓声を浴びていたのがback numberだ。3ピースのバンドだが、キーボードに、エレクトリック/アコースティックのギタリスト2人も加えた、6人編成でのステージとなる模様。リハゆえに、軽めのセッションながら、重厚なアンサンブルが聞こえてきてわくわくする。
そして、いよいよ本番。会場はみっしりと人であふれ、ステージに熱視線を送っている。そんなたくさんの人を前にして、少しばかり照れくさそうに、清水(Vo・G)が「back numberです、よろしく」と挨拶するや、がっつりと分厚いアンサンブルで“こぼれ落ちて”へ。ゴージャスなアレンジが効いたロック・サウンドに、清水のパワフルな歌声が映える。しかし、back numberの歌のほとんどは、センチメンタルでできている。失った恋や、「あの子」を何度も何度も思い出して、傷口の乾く暇がない、ビター&ビター&ビターな歌。こう聞くと、相当湿度満載で重い曲なのかと感じるかもしれないが、やたらめったらエネルギッシュで、圧倒的なパワーに泣けるのだ。こぶしをガツガツとふるって、大きくハンドクラップするくらい、グッとくるのである。オーディエンスの熱い声援に応えるように、そのサウンドはますますタフになる。
「たくさんのステージのなかから僕らを選んでくれてありがとう。ROCK IN JAPAN2011、この歌を、ここでできることを幸せに思います」と、清水が語りスタートしたのが“花束”。この曲を待っていたとばかりに、特に女の子の歓声が一段と高くなる。恋の始まりの幸福感、あなたへの想いをブーケにしたエモーショナルなこの曲……会場は、きゅんきゅんと胸の高鳴りが聞こえてくるんじゃないかというくらい、うっとりとしたムード。歌い終わるや、鼻をすすっていて、お客さんに笑われていた清水。「そりゃ、感動するよ」と苦笑いしたが、ラスト2曲はアグレッシヴに攻め、ドラマティックな高揚感でぶっ飛ばしていった。カタルシス満載、ほろりとほっこりの涙が、夕暮れの時刻にぴったりだった。(吉羽さおり)


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