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涼しい風がそよいですごしやすくなったWING TENT。そんな快適な夏の夕暮れを、もう一度灼熱へと変えたのがcoldrainだ。場内は始まる前からパッツパツだが、それでもぞくぞくと人が入場してきた。

初めて海外レコーディングを行ったニューEP『THROUGH CLARITY』を、7月にリリースしたcoldrain。ショーの幕開けは、そんなEPの冒頭曲の“No Escape”。Masato(Vo)のスクリームから始まり、怒涛のヘヴィ・サウンドをWING TENTにぶちかます。アグレッシヴにプレイしながら空を蹴りあげるようにジャンプするSugi(G)、重厚なリフをばしばしと決めながら観客をあおるY.K.C(G)、地を這うようなベースをかますRxYxO(B)。みっちり濃厚なギター・リフによる豪快な音圧と、メタリックなギター・フレーズが展開する多彩なアレンジを基調とした彼らの構築的で躍動的なサウンドが、海外の屈強なポストハードコア勢とわたり合ってきたのも納得できる。そして、スクリーム、デスヴォイス、エモーショナルなメロディック・パートまでをフルボリュームで自在に歌い上げるMasato。その存在は、まさに「ザ・フロントマン」たる圧倒的パワーがある。彼らのライヴに一度でも触れれば、ガツンとうちのめされることは必至。パッツパツのWING TENTがなによりもその証拠である。

「運命のいたずらで、coldrainはいつもの5人じゃありません」とMasatoが告げるが、それはドラマーのKatsumaが病気療養で一時バンドを離れてしまったことを指しての言葉。それでも彼らの発信するメッセージは変わらない。このまま進んでいくことを選んだ、と彼らはここで宣言。急きょサポート・ドラマーを迎えたライヴになったが、その分、いつにもましてアグレッシヴなパフォーマンスで、観客を汗でどしゃめしゃに。メンバーたちはステージ上を動き回りながら、めいっぱい腕を広げ、楽器を頭上に掲げて、シンガロングを大きく大きく指揮していく。Masatoの「なにかひとつ見つけて、あきらめないで続けてくれ!」というメッセージと、天を仰いでの渾身のスクリームで始まったラスト曲の“Final Destination”。最後まで爆音を轟かせて、coldrainはステージを降りていった。(吉羽さおり)