それもそのはず、なんと2日間で76,000人を動員し、さいたまスーパーアリーナ史上最多動員数を記録したとのこと! Vaundyのライブではただでさえ観客一人ひとりの想いがすさまじいのに、それが38,000人ぶん集まって、ただならぬ熱気を生んでいた。
そして、それをひとり(とバンドメンバー)で打ち返すVaundyの神々しさたるや! ストレートなロックソングでも、複雑なグルーヴを持つファンクでも、しっとり聴かせるバラードでも、Vaundyのパフォーマンスにふれていると自然と体が動き出し、心が熱くなってくる。38,000人のうちのひとりでではなく、ちゃんとVaundyに一対一で向き合ってもらっている感覚になる。どこまでも伸びてゆくパワフルなロングトーンの合間に差し込まれるウィスパーボイス、ド派手なサウンドの中でふと訪れる静寂のバランスが絶妙で、Vaundyの存在感と最高の照明だけという相変わらずシンプルなステージセットにもかかわらず、全集中力をVaundyに捧げないと立ってられないくらい音楽的情報量がパンパンだった。
発売中のJAPAN2月号のインタビューで、Vaundyは今回の「FUSION」ツアーに加え、「音楽とビジュアルの関係性」と「聴覚が視覚を超える未来」について語ってくれているのだが、そのひとつの答えのようなものがVaundyのライブにはあると思う。MCで言葉少なく観客を煽りまくるライブモードのVaundyとはまた違う、激動の音楽シーンの中で思い悩みながらアーティストとしてのあり方を模索するVaundyにインタビューで出会ってほしい。(畑雄介)
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