鉄壁のセットリストと圧倒的な歌唱力で観客の心を鷲掴みにした昨年末のCDJのアクトもすごかったが、ワンマンライブで紡ぎ出す世界はどこまでも大きくて、時間が経った今もその世界に取り残されている。
孤独を抱えながらそれでも光を求めて生きる日々を歌うロクデナシの物語が、にんじんの唯一無二の歌声によってリアルな体温を伴って響き、ライブを観たあとの「読後感」(というのがしっくりくる)は切なくて悲しくて、でもどこか清々しかった。ピアノだけをバックに奏でられた“アマネゾラ”でも、天まで届くような高音が美しい“草々不一”でも、にんじんの声は繊細でいながらも芯の強さを持っていて、届かない想いや命の寄る辺なさをまさに体現するようなパフォーマンスだった。
アンコールで披露された新曲“脈拍”はみきとPによるミドルテンポの上質なバラード。水面にじんわりと広がる波紋のようなボーカルが素晴らしかった。(畑雄介)
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