なぜ「負け犬の歌」がこんなにも美しいのか?──シンガーズハイの新曲 “サンバースト”を聴いて

《腹の中でまだ蟲が湧いている》
歌い出しがこれである。聴く者の心を爪で引き裂くような言葉で始まりながら、それでもなぜか、最後には少しだけ光が差し込むような感覚が残る不思議な曲だ。

この曲の中で何度も繰り返されるフレーズ──
《Everything’s gonna be alright.》
ぱっと見は希望のメッセージに聞こえる。でも、
《祈り続けても意味ないって兄弟》
というラインと一緒に聴くと、言葉の温度が変わってくる。どこか空虚で、痛々しくて、でもそれでも誰かを信じようとする。そんな“信じたいのに信じきれない心”が、この曲の根っこにある気がする。

シンガーズハイはこれまでも「痛み」や「孤独」を、“排除すべきもの”ではなく、“大切に抱えて生きるもの”として描いてきた。今回の『サンバースト』は、その信念を、より鋭く、より繊細に突き詰めた一曲だ。

どこまでもリアルで、どこまでも人間くさいこの歌に、あなたも心を引き裂かれてみてほしい。そして、その裂け目から少しだけ差し込む光に、気づいてみてほしい。(古閑英揮)
ROCKIN'ON JAPAN 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on