毛皮のマリーズのラストスタンド


ロックンロールとはサーカスであり、すなわち見世物であり、そして時として騙し合いであることを誰よりも自覚している志磨遼平。しかしながら、そんな彼が決行した今日の武道館公演が、結果として「サーカス」でもなく「見世物」でもなく、そして無論「騙し合い」にもならなかったところに、ロックンロールの素晴らしさと毛皮のマリーズの凄さがある。

ドラマチックな演出など皆無で、感傷的な言葉など一切発せられなかった。でも我々は“ジャーニー”に未来を感じ、“ビューティフル”に夢を見て、そして“THE END”に終わりを認める。すべてのバンドにこんなことができるとは思わない。毛皮のマリーズがロックンロールそのものであることを証明した完璧なラストライヴだった。(徳山)
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