ありがとう、ミスター・ビッグ! 有終の美を飾った、大感動の武道館公演を完全レポートする


現在発売中のロッキング・オン6月号では、ミスター・ビッグのライブレポートを掲載!
以下、本記事の冒頭部分より。



文=増田勇一

「長きにわたりこのバンドを人生の一部にしてくれてありがとう。心の底から感謝している。君たちのことをファンとは呼びたくない。友達だと思っている。ミスター・ビッグとしてステージに立つのはこれが最後になるが、この先も会えるはずだ。いつ、どこで、どういう形になるかはわからないが、また再会しよう」
 2月25日、日本武道館。バンド始動当初からこの国と深い縁を保ち続けてきたミスター・ビッグにとっての正真正銘の最終公演が行なわれた。3日前に開催されていた大阪城ホール公演に続き、この日も会場内は超満員。場内にはフェイバリットバンドの最期を見届けようとする深刻なムードではなく、最後の一瞬まで笑顔で楽しみ尽くそうというポジティブな空気が充満していた。

ただ、最後の最後にバンドの創始者であり最年長者であるビリー・シーンがオーディエンスに語り掛ける場面では、驚くほどの静寂がそこにあった。本稿冒頭の発言はそこから引用したものだが、大好きなバンドのメンバーにこんなことを言われて、心を動かされない人間などいるだろうか。しかもこんな言葉が発されている際にスクリーンに映し出されたエリック・マーティンの姿は涙ぐんでいるようにも見えた。

ミスター・ビッグは2023年7月、『ザ・ビッグ・フィニッシュ』と銘打たれたフェアウェルツアーの一環で来日し、その際の千秋楽にあたる同月26日の日本武道館公演が、彼らのこの国での最終ステージとなるはずだった。ただ、同ツアーがそれ以降も欧米などで続いていくなかで、再演を求める日本のファンからの声が殺到し、メンバーたち自身のなかで「やはり最後に、もう一度だけ日本で」という気持ちが高まってきたことが、今回のアンコール公演に繋がったのだった。

なかにはこうした流れを、あらかじめ筋書きが用意されていたドラマと決めつけようとする向きもあるだろうし、昨年夏に『テン』と題された新作アルバムが登場した際には、「ツアーはもうやらないが新曲を作ることはできるし、それに伴う単発的なライブをやる可能性はある」といった発言をするメンバーもいた。それだけに熱心なファンのなかにも、何らかの形で活動が継続されていくのだろうと受け止めていた人は少なくなかったはずだ。しかし実際に今回の公演を経たうえで感じたのは、ここできっぱりとした終止符を打とうとするバンド側の意志だった。(以下、本誌記事へ続く)



ミスター・ビッグの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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