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    トム・ヨーク×マーク・プリチャード。UK電子音楽界の巨頭、動く。世界が渇望したコラボアルバム、リリースへ!

    トム・ヨーク×マーク・プリチャード。UK電子音楽界の巨頭、動く。世界が渇望したコラボアルバム、リリースへ!

    マーク・プリチャードとトム・ヨーク。90年代からそれぞれの分野の第一人者であり続け、ときに交わりながら活動してきたビッグネームふたりが、非常に力の入った驚きのコラボレーションアルバム『Tall Tales』(5月9日に全世界同時リリース予定)を完成させた。

    マーク・プリチャードは、1992年にトム・ミドルトンと結成したグローバル・コミュニケーションをはじめ、数多くのユニットやエイリアスを使い分けながらテクノ、ブレイクビーツ、アンビエント作品を生み出してきたUKエレクトロニックの重鎮。一方のトム・ヨークも、本稿執筆時点でレディオヘッドから新しいアクションは発表されていないものの、周知のとおりソロにザ・スマイルにと精力的に活動中だ。2010年代にはマーク・プリチャードがレディオヘッド作品のリミキサーとして携わったり、逆にマークの2016年作『Under The Sun』ではトム・ヨークが収録曲“Beautiful People”に作詞/作曲/ボーカルで参加するといった関わりはあったものの、パンデミック下の2020年にトム・ヨークがコラボレーションの旗振り役をしたことから、徐々に今回のプロジェクトが進行していったらしい。

    『Tall Tales』からは既に2曲の先行リードシングルが公開されている。“Back In The Game”は2024年秋のトム・ヨーク来日公演でも披露されていた楽曲で、自己否定的な主人公が居場所を求めて社会復帰を目指すといった内容の楽曲。これは今回のコラボレーションを自嘲気味に歌ったとも解釈できる曲だ。奇っ怪なクリーチャーたちが闊歩するミュージックビデオは、虚な魂が徒党を組む恐怖(過剰なキャンセルカルチャーなど)を暗示しているように思える。

    一方、“This Conversation Is Missing Your Voice”は、ミュージックビデオに映し出される物流倉庫のオートメーション化された風景が、個人の意思や感情など受け付けない、巨大かつ冷徹な「力」の気配を感じさせて不気味だ。時代の病理を体現するトム・ヨークの歌と、緻密かつエモーショナルなマーク・プリチャードのサウンド構築が織り成すアルバムに、注目してほしい。 (小池宏和)



    マーク・プリチャードとトム・ヨークの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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