まず今回のセカオワは新曲“図鑑”についてのインタビューだったのですが、Fukaseが復活してからのセカオワはまた以前のようにまるでバスケやサッカーのようにいろんなパスを出し合って、それぞれお互いの動きやコンディションをちゃんと見て取りながら緻密で息の合ったチームプレイで制作が行われているということが話を聞いていて伝わってきました。Saoriの出産やFukaseの体調不良も当たり前の出来事として対処しながら包み込んで進んでいくセカオワのバンド活動は、やっぱり幼い頃からの長く深い関係があっての、独特なものだなと改めて感じました。
Vaundy、今回も貴重な本人インタビューが取れました。JAPANでの最近のこのVaundyインタビューの連打は、次々に公開されるVaundyの新曲を追いかけながら多忙な本人をなんとかとっ捕まえてインタビューして活字として残す!という国家プロジェクトの一環なのでみなさん心して読みながら頑張ってついてきてください。
「文学的に絶妙に言い当てましたよ」っていう表現ではなく、すべてをバーンとひっくり返したいみたいな衝動、本質そのものを歌いたい衝動って、今の尾崎世界観の中で、どうなってるんだろう?
という、かなりめんどくさい質問です。
読んでもらえばわかると思いますが、尾崎くんはこの質問に対して非常に誠実に答えてくれました。今のクリープハイプの立ち位置を踏まえたうえでの考え、時代が求めるものを踏まえたうえでの考え、そして表現者の本質を踏まえたうえでの考え──それらを冷静に検証しながら率直に答えてくれたと思います。
「考えたことなかった」「もう一回考えてみても面白いかもしれないです」という一見投げやりで手応えのない答えに読めるかもしれないですが、僕は彼がこの質問の意味をちゃんと受け取ってくれたと感じました。
そしてその数日後にやったユニゾン田淵くんとの対談イベントで、気がついたら僕は尾崎くんに投げかけた質問に近いテーマを田淵くんに投げかけていました。
ロックは生と死の本質を暴くような表現だったが、今はロックバンドではなく歌い手やボカロPやラッパーがそのテーマに生々しく向き合っているのではないか?
というこれもまた限りなくめんどくさいテーマです。でもまあこの日のイベントはめんどくさいテーマを投げ合う感じ(ほとんどは田淵くんが)だったので結論はぐだぐだになっちゃったのですが、でもなんか最近はまたひと昔前のようにアーティストと音楽や人間についてしっかり本質的な話ができる空気になってきているような気がしています。そういえば尾崎くんは40歳になり、田淵くんも40歳、Fukaseくんも10月には40歳になる。……だからなのか? いやそういうことでもないような気がします。引き続き、この件ちょっと考えてみます。
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