ブラッド・オレンジの新作「ニグロ・スワン」は、彼のどこにも属すことがなかった少年時代を描いた繊細さと痛みに満ちた傑作だ。

タイトルにこのアルバムのテーマが凝縮されている。白鳥でありながらニグロ、つまりどこにも属することのない存在としての自分と向き合った作品だ。
アフリカのシエラレオネからの移民として英国で育ち、様々な差別を体験してきた彼の少年時代が描かれている。
黒人への差別、同性愛に対する偏見、彼の少年時代はそうしたものとの戦いだった。
このアルバムではそうしたことを率直に歌いながら、最終的には希望に向かうことが大きなテーマになっている。
どの曲も普遍的で美しいメロディを持ち、優しくポップなアレンジが貫かれている。
今日のワールド・ロック・ナウでしっかり紹介したい。
ジャケットも素晴らしい。
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