JAY‐Z の新作で引用されているニルヴァーナが重い


最新作は栄光と名声の光と影がテーマ。アルバム・タイトルは「マグナ・カルタ…ホーリー・グレイル」。ホーリー・グレイルは聖杯。
アルバム1曲目のタイトルもホーリー・グレイル。その曲の中でニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のサビが歌詞を変えて引用されている。その歌詞は「おれたちは単なるエンターテナー、おれたちは単なるエンターテナー、愚か者でまわりを巻き込むのさ」。
ライナーを読むと、ジェイ・Zは自らの著書でカート・コバーンはヘロインの前に名声を過剰摂取してしまったのではないか、と書いているようだ。
まさに今のポップ・ミュージック・シーンに於いて最大の名声と栄光を手にしたジェイ・Zだからこそ作れた、重く苦い傑作。彼自身がいかに巨大な名声と栄光と厳しい闘いをしているかがリアルに伝わって来る作品だ。アルバムのラスト・ナンバー「ニッケルズ・アンド・ダイムズ」で執拗に繰り返される「しみったれた銭がオレの脳裏に焼き付く、勝ち目は無い、あるのは仲間だけ」という歌詞が重い。
今週の番組でしっかり紹介したい。
渋谷陽一の「社長はつらいよ」の最新記事