ちょっと驚くぐらい、歌がさらにレベルアップしている。
特にアコースティックの曲ではっきりとわかるのだが、声の繊細さが増し、透明感も増した。
肉声というよりも、何かが結晶したような、抽象的なまでに純度の高い歌声に成長していた。
それを操る集中力も増していて……YUI、さらに凄いヴォーカリストになっている。
そのぶん(と言っては気の毒かもしれないが)歌と演奏以外のコーナーでは、これまで以上に天然で、台本棒読みの小学生ぐらいのぎこちなさ。歌とのギャップは衝撃的なまでである。
ヴォーカルのレベルが高まったことで、曲の真のクオリティーがよりはっきりと表れていた。
デビュー当時の曲が、年を経てさらにピュアな輝きを増すことなど普通のシンガーならあり得ない。
呆気に取られてしまった。
音楽以外の面では一切の敷居の高さを排除して、誰もが親しめる演出やMCを徹底し、ストイック過ぎるほどストイックに音楽だけを高めていたYUIの毅然とした姿勢に揺さぶられた。