大きな飛躍を成し遂げた分岐点

M.I.A.『AIM』
発売中
ALBUM
M.I.A. AIM
これが引退作になるとこれまで語ってきているM.I.A.の新アルバム。言いたいことをたくさん抱え、日々それが募っていくような人なので、これで引退になるということはないと思うが、しかし、自身の表現のアプローチを徹底的に見直した作品として大成功している。それは過剰な政治性を投入することをやめるということなのだが、実は前作『マタンギ』もまたそういうアルバムとして意図されたものだった。しかし、前作制作時にM.I.A.はウィキリークスのジュリアン・アサンジと深く関わり過ぎたため、結果的にそうはならなかったのだ。今作でM.I.A.を大きく触発したのは間違いなくシリア系難民のヨーロッパへの大移動とその過程で報道された難民の現実だ。これまで彼女は難民が報道や社会問題として看過され抹殺されていく論理を直感的にライムとして糾弾してきたが、今回は難民だった自身の生い立ちを含めたその心象の描写に徹することに成功していて、そこが素晴らしくよくできている。非常にミニマリスティックにもなった今回のサウンドもその内容を踏まえた作品となり、必ずこの次に繋がる内容になっている。(高見展)
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