ワイドレンジに振り切った達成作

ノー・エイジ『スネアズ・ライク・ア・ヘアカット』
発売中
ノー・エイジ スネアズ・ライク・ア・ヘアカット
LAのデュオによる4年半ぶりの5作目。エフェクト/オーバーダブやコラージュ的手法を追求した10年の3rd『エヴリシング・イン・ビトウィーン』に対し、ドラム・キットの増強やベース・ギターの導入が図られた4枚目の前作『アン・オブジェクト』。すなわち、音響面と演奏面の拡張とビルドアップが近作における課題だったわけだが、今作はその試行錯誤が実を結んだ理想的な成果、といえるかもしれない。

ハードコア・パンクとシューゲイザーの結節点を示した傑作2nd『ノウンズ』の路線をさらにラウドにサイケデリックに推し進めたような⑥⑨もあれば、ジャムも織り交ぜたアンビエントなテクスチャーが際立つインスト⑤⑩もある。そうしたサウンドのレンジの両極を振り切ったところが本作の醍醐味であり、また過去作を更新したダイナミズムの所以でもあろう。他にも、イーノ&デヴィッド・バーン風のニュー・ウェイヴな⑪、スーサイドの“ドリーム・ベイビー・ドリーム”も連想させる⑫など、作品トータルの展開はじつに多彩。〈ドラッグ・シティ〉への移籍も含めて、キャリアの節目を刻む重要な一枚となりそうだ。(天井潤之介)
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