外出自粛期間がはじまる前にレコーディングされた最新音源を、6月15日までの期間限定でリリース。彼女たちにとって初めてのサブスク配信で、とにかく「届ける」ことを最優先にした結果としてのこの“また会う日まで”である。では彼女たちは何を届けようとしているのか? 曲名も《また会う日までの魔法/どうかどうか 君に追いつけ》という歌詞の内容も今の状況とリンクしているが、この曲に描かれているのはもっと本質的な今の
Hump Back、林萌々子のテーマだ。昨年の『人間なのさ』は一言でいえば他者肯定のアルバムだった。さまざまな人のさまざまな人生が交差する場所で生まれる愛や優しさに目を向けることで、Hump Backの音楽は大きく、広いものになった。そしてこの曲の《誰かに渡す優しさの故郷を知るときに/君は誰かにもらった愛に気付くのでしょう》という歌詞は、そんな彼女たちの音楽がどこから生まれてくるのかをはっきりと伝えている。それが必然的に時代に寄り添っていること、ちゃんとみんなの歌として響いていることに、バンドが今もっている求心力の強さを感じる。(小川智宏)
『ROCKIN'ON JAPAN』2020年7月号より