もはやジャンル的な注釈はいらない

chilldspot『ポートレイト』
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ALBUM
高校在学中から注目を集め、ネオソウルやジャズといったエッセンスを織り込んだサウンドで当時から只者ではない雰囲気をビシバシ感じさせた彼女たちも全員が20歳となり放つ2ndフルアルバム。昨年9月に発表した3rdEP『Titles』ではUKロックやグランジ的アプローチも見せており、今回はさらに幅が広がっているのだが、もはやジャンル的な注釈はいらないほど独自のロックとして昇華し、深みが出すぎてて驚きを隠せない。全体的に漂うのはどこかシリアスなムードではあるが、張り詰めた緊張感があるわけではなく、ありのままでいいと歌う“Girl in the mirror”や《私はそうスーパースター》と自分に呼びかける“Don’t lose sight”に象徴されるように、そこにあるのは自己肯定や愛といった温かさ。しかも、グッと背中を押すのではなく、後ろからそっと抱きしめてくれるような優しさに溢れている。“BYE BYE”のような爽快でキャッチーなナンバーも飛び道具的にしない馴染み方をさせたり、《透き通る程ノンフィクション》と赤裸々に想いを吐露する“5/7”で締めくくる流れも素晴らしい。(ヤコウリュウジ)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)


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