俺たちが日本のポップパンクを作る! 最新作に込めた熱き闘志を語る!!
![Septaluck](/contents/feat/septaluck_201604/img/header.jpg)
2012年から精力的な活動を重ねているSeptaluck。彼らが一貫して大切な核としていた「ポップパンク」への愛情を炸裂させたのが、最新作となる3rdアルバム『MEMORIES and FUTURE』だ。シンガロングしたくなるメロディ、飛び跳ねて踊りたくなるビート、ワクワクする物語が次々迫ってくる。ギタリストのMakotoが脱退し、サポートプレイヤーを迎えた新体制で動き始めている彼らに熱い追い風を与える1枚だと思う。今作についてfin(Vo)、 USSY(G)、chu(B)、内野潤一(Dr)に語ってもらったのだが、日本のパンクシーンについての新鮮な視点も得られる内容となった。
「ポップパンクって広まらないなあ」って、この10年くらいずっと思い続けていて。でも、答えがなかなか見つからないんですよね(fin)
――「ポップパンク」っていうテーマは、どういう経緯で浮上したんですか?
fin バンドを組んだ時からポップパンク一筋でやってきながらも、あえてそれをテーマとして意識して作るというのは、まだやったことがなかったんですよね。過去の2枚もやりたいことをやっていたんですけど、「次はどんな作品を作ろうかな?」と。それで考えたのが「自分が聴きたい音楽って何かな?」っていうことだったんです。
――その結果、浮かんだテーマが「ポップパンク」?
fin はい。テーマを絞ってみようと思いながら浮かんだのがそれでした。
――1stアルバムは、クワイエットドライブのヴォーカルのケヴィンがプロデュースしていましたし、ポップパンクは初期からあった音楽性ですよね。
fin そうなんですよ。でも、ポップパンクって日本ではあまり浸透していない感覚があって、そこを強く表現しすぎてもリスナーに伝わらないのかなと。だから1stの頃とかはそこからあえて距離を置いて、リスナー目線で「みんなで楽しめる音楽を作る」っていうような感覚だったんです。そういう音楽をアメリカでケヴィンにプロデュースしてもらって、ポップパンク色にしていたんですよね。
――僕、今回のアルバムを聴いてハッとしたんですけど、日本ではメロディックハードコアに比べると、ポップパンクってあまり浸透していないですよね。Septaluckは、そこに切り込んでいこうとしているバンドだと感じたんです。
chu そこのポイント、きましたね。嬉しいです。そうなんです。世界を狙っているので(笑)。
――(笑)気がつくと「パンク=メロコア」って感じになっているところが日本のシーンにはあるなと。
fin 僕らは思いっきりAIR JAMに影響を受けた世代ではあるんです。そういう音楽を聴いてバンドを始めたんですけど、やりたい音楽はそれとはまた別で。「日本の音楽シーンで自分たちが何を残したいか?」を考えた時に、やっぱり浮かぶのは今回のようなものなんですよ。「ポップパンクって広まらないなあ」って、この10年くらいずっと思い続けていて。でも、答えがなかなか見つからないんですよね。
内野 なんでなんだろうね? ラウドロックは2度目くらいの流行った波の時に、海外の多様な流れを汲んだバンドが日本でもたくさん出てきましたけど、パンクとかエモはそうでもないですから。そういうバンドももちろんいますけど、アンダーグラウンドなんですよね。
fin ハイスタ世代が偉大だったっていうのが、理由のひとつではあるんでしょうけど。
「日本でなぜ流行らないのか?」に対する答えを僕らが出しますよ!(chu) おい、そんな大きいこと言って大丈夫か?(笑)(USSSY)
――ブリンク182とか日本でも人気があるのに、不思議な気もしますね。「聴かれている」という点ではポップパンクは、決してマイナーな存在ではないのに。
内野 そうなんですよ。みんな好きなはずなのに。
fin なんでだろう? 好きな人はたくさんいるのに、やっているバンドはアンダーグランドシーン以外にあまりいないという。それほどお客さんが集まってこなかったということなのかな? だから、ポップパンクを掲げて作った僕らのアルバムをきっかけに、みんなで輪を広げていけたらいいなと思っています。
chu 「日本でなぜ流行らないのか?」ということに対する答えを僕らが出しますよ!
USSY おい、そんな大きいこと言って大丈夫か?(笑)。
fin まあchuの発言は置いておいて(笑)。ポップパンクは、好きな人がたくさんいると思うんです。Septaluckのことを気に入ってくれているインドネシアの子がいるんですけど、僕らのことを地元のラジオ局に紹介してくれたことがありまして。番組で僕らの曲がかかったところ以外も、ストリーミングでずっと聴いていたんですけど、その時に発見があったことを今思い出しました。
――どのような発見でした?
fin 日本の音楽に独自のおもしろさがあるのは確か。でも、ガラパゴス化しているようにも感じたんですよね。番組内でインドネシアの音楽もたくさん流れたんですけど、アメリカの音楽と同じような空気感があったんですよ。インドネシアでもそういう状況なので、日本でももっとポップパンクが広まってもいいよなと思いました。
――潜在的な好きになる層はいるんでしょうね。
fin そうだと思います。「ポップパンクのバンドが、なぜ日本で広まらないのか?」ということに関しては、「海外にバンドがたくさんいすぎて、日本のバンドのチェックが追いつかないから」というのも理由のひとつかなとは思いますけど。だから発信し続ければ、もっと広がっていくシーンなのかなと。
――発信すべきポップパンクの魅力って、例えば何ですかね?
fin ズバリ「シンガロングできる」っていうのが一番に来るところじゃないでしょうか。BPMがめちゃくちゃ速いわけでもないので、サビの頭のメロディとかキメの部分とかで、みんなで拳を突き上げてシンガロングできるんですよね。
――メロコアもシンガロングできますけど、モッシュとかダイヴとかの要素も強いじゃないですか。それに対してポップパンクは、ヌケの良いパーティー感とシンガロングの度合いが高いということですかね。
fin まさにそういうことです。
USSY 僕も10代くらいの頃からブリンク182とかニュー・ファウンド・グローリーとかグッド・シャーロットとかを聴くようになったんですけど、盛り上がりやすいし、歌えちゃうっていうのを魅力として感じていましたよ。
――アヴリル・ラヴィーンだってポップパンクと言っていいと思いますけど、ロックをコアに聴いていない中高生とかからも支持されていたじゃないですか。
fin そうなんですよ。ポップパンクって聴きやすい音楽ですから。Sepataluckもメロディとかコーラスをすごく考えています。激しいサウンドだけじゃなくて、歌メロを聴かせることを大事にして作っているっていう部分を感じてもらえたら嬉しいです。
シンプルな中にもそれぞれの個性が出ているっていう手応えは、僕も感じています(USSY)
――今回のアルバムから挙げるならば、ポジティヴなメッセージがこもった“It's All Right”だけじゃなく、怒りをぶちまける“No Joke”ですらも超キャッチーですからね。
fin その通りです(笑)。“No Joke”は、完全に怒りの曲なんですけど。笑顔とポジティヴなメッセージというのは、このバンドの基本としているところなんです。
――ゲロゲロのデス声とかスクリームで怒りをぶちまける曲は、このバンドではあり得ないんですか?
fin 実は昔、1曲だけ作ってみたことがあったんですけど、どのメンバーもデス声ができなくて断念しました。
chu ただ喉が痛くなっただけでした。
fin 何も得るものがなかったんです(笑)。キャラ的にも向いていないんでしょうね。普段からのほほんとした空気感のバンドですので。
――歌詞にもそういう空気感が出ていますね。今回、全部が英語詞というのも目を引いたところなんですけど、それは何か理由があったんですか?
fin それに関しては、たまたまなんですよ。日本語でも雰囲気が合うのならば入れてみようと思っていたんですけど、自然と英語の曲だけが残っていました。今回、曲作りをしている時に、15年くらい前に聴いていた海外のバンドのCDを取り出して久しぶりに聴いてみたりもしたんです。そういうことも影響しているのかも。自然な結果としてこうなっていったのかもしれないですね。
――今回のアルバムのサウンド面については、何か感じていることはあります?
内野 ドラムに関しては昔からシンプルにすることを考えていたんですけど、今回はそこが一番上手くいった感覚があります。物足りなさを感じることなく、歌を邪魔することもなくっていう理想に近い形です。
chu ベースに関しても、歌を邪魔することのない存在感っていうのは考えましたね。ドラムとの絡み合いもいろいろ考えましたので。ヴォーカルと「これでいいですか?」、「ダメだよ。そこ、歌とぶつかる」とか話したり(笑)。そして、音作りも違うベースを使ってみたりしながら、いい感じのサウンドにすることができたと思います。
USSY シンプルな中にもそれぞれの個性が出ているっていう手応えは、僕も感じています。
――ギターに関しては“ Sleepless Night”みたいに、歪みサウンド+クリーンなアルペジオのコンビネーションで、奥行きのある空間を作り出す手法が冴えている印象がありました。
USSY その辺はブリンク182を意識しました。
fin 初耳! そうだったんだ?
USSY そうなんですよ。まあ、その曲も含めて、いろいろイメージしていたものを今回具現化することができました。例えば“Everything”もデモがfinさんから送られてきた時点で「アコギを入れたい」って思って。考えたフレーズが上手くハマりました。
fin 今回、みんなの意見を出してもらった結果、上手くいったものが多かったですね。