【インタビュー】結成20周年のバックドロップシンデレラ、2枚組ベストアルバムが完成! 本気で立ち向かい、踊り踊らせ、遊び尽くしてきた仲間との日々結晶を語る

【インタビュー】結成20周年のバックドロップシンデレラ、2枚組ベストアルバムが完成! 本気で立ち向かい、踊り踊らせ、遊び尽くしてきた仲間との日々結晶を語る

20周年のタイミングでリリースされる、バックドロップシンデレラの2枚組ベスト盤『よりBESTです』がすごい。1枚目からして20曲入りという特大ボリュームで、前回のベストアルバム『BESTです』以降の10年間で生み出されたキラーチューンの数々を余さず収めているのだが、「フィーチャリング盤」と銘打った2枚目もまた、彼らにしか成し得ない傑作なのだ。盟友もいれば意外な人選もあり、さらには本拠地・池袋Admに出ている若手世代まで、これまで出会ってきた仲間たちの手によって、様々なアプローチでカバーやリアレンジを施された楽曲たちは、どれもこれまでとは違った新たな魅力を放っている。本インタビューで語られるのは、そんな2枚組の制作秘話に加え、バンドにとって前回のベスト盤リリース以前の10年間とそれ以降の10年間ではどんな違いがあり、何をもたらしたのか、という話題である。さらに、そこで得た経験や思考の変化によって実現を可能としたであろう直近10年間の、いや、キャリア20年の集大成でもある来年2月の「ブクロック!フェスティバル2027幕張」に向けた心境にまで触れていく。相変わらず楽しそうに我が道をゆく、けれど着実にスケールがデッカくなっている4人の言葉に触れてみてほしい。インタビュー=風間大洋

現実はすべてうまくはいかないけど、音楽では踊っていようぜっていう作り方。僕らはそういうバンドなのかなと思う

──前回のベスト盤『BESTです』がちょうど10年前ですので、現時点で20年のキャリアの下半期から抜粋された20曲が1枚目に。こうして並べてみると、ここ10年間に対して何を思いますか?でんでけあゆみ(Vo) やっぱりいちばん大きいのはコロナ禍で、10年というよりまずあの時期ですね。豊島“ペリー来航”渉(G・Vo) 確かに分断されてるというか、10年の中でもコロナ禍で一旦区切られた前半と後半がありますね。最初の5年は、10年前にベストを出した流れにそのまま乗っかって、曲作ってツアーというルーティーンをずっとやってた。でんでけ うん、そうだね。豊島 その規模が少しずつ大きくなってきたところでコロナ禍があって「あれ、どうしようかな?」ってなりました。リセットじゃないですけど、活動の仕方とか変わらざるを得なかったところもありますし。鬼ヶ島一徳(Dr・Cho) あとはフェスとかに出させていただく機会も増えたんで、よりいろんな人に観てもらえた10年かもしれない。アサヒキャナコ(B・Cho) 最近の10年のほうが濃いから、その前が思い出せなくなってるんですけど(笑)。豊島 (笑)。最初の10年は固まるまでで既に6~7年かかったみたいなところもあったけど、ここ10年は、ある程度僕らの音楽性ややっていくことが定まった状態で作ってきたなとは思いますね。──より広い層から認知され理解された10年でもありますよね。そうなったことでバンドはやりやすくなりましたか?豊島 「ウンザウンザを踊る」っていうのを15年前から掲げていて、民族音楽やアイリッシュとかに日本語の感覚を乗っけてやっていこうということなんですけど、そこに関してはすでに出尽くしていて(笑)。そのうえでどうオリジナリティを作っていこう?という時期ではありました。このアルバムにも入ってる“本気でウンザウンザを踊る”でひとつ極めたというか。今後作っていってもこの曲と似たようなものが出てくるだけな気がして、いろいろな引き出しをずっと探し続けてきたかなと思います。──「ウンザウンザを踊る」シリーズも含め、今回の曲たちを聴いて改めて感じるのは、常に一定の哀愁みたいなものがありつつ、それを楽しさやポジティビティに変換していく力があることと、それを負け犬根性っぽくはない形で出力していることなんですよ。なんというか、ファイター的な姿勢がどの曲にも感じられて。豊島 負け犬根性みたいなものは僕の性格上ずっとあり続けてはいて。負け犬根性になりやすい場に自ら飛び込んでるところもあって──ライブハウスも池袋から始めてみようとか、あえて下北沢を敵視しようぜ、みたいな。仮想敵みたいなものを作るのが好きなんですよね(笑)。いろんな場面で必ずそっち側を選んでる。でんでけ はいはいはい(笑)。アサヒ それが好きなんだろうね。豊島 今気づきました。鬼ヶ島 はははは!──ああ、負け犬根性はあっても表れ方に悲壮感がない、というのが正確かもしれないですね。豊島 そうですね。もともとウンザウンザというのはエミール・クストリッツァという方の映画『アンダーグラウンド』から取ったもので。その人の作品を観ていると、戦争とかで悲惨な現実があっても、映画の中ではずっと陽気な音楽がかかって楽しく踊っているような作品が多くて。そこに非常に共感しているので、現実はすべてうまくはいかないんですけど、音楽では踊っていようぜっていう作り方というか。僕らはそういうバンドなのかなって思ってます。
【インタビュー】結成20周年のバックドロップシンデレラ、2枚組ベストアルバムが完成! 本気で立ち向かい、踊り踊らせ、遊び尽くしてきた仲間との日々結晶を語る

(フィーチャリングは)この人が歌ったらどうなるんだろう?とか、合うだろうなっていう方にアホの振りしてお願いしました

──そうして作り上げた曲の中から今回の20曲はどう選んだんですか?豊島 ツアー中のファミレスで決めました(笑)。全員 (笑)。豊島 そんなに揉めなかったよね?アサヒ なんなら、そのファミレスで話し合ったデータが一回消えちゃったんだよね? けど、そのあと「こんな感じだったよね」って選び直したのがこれだったから、これでしかなかった(笑)。豊島 そもそも僕らの曲は、しっかり作ってるものと、明らかにしっかり作ってないものの落差が激しいんですよ(笑)。それも良しとしてるし必要なんですけど、ベスト盤にはやっぱり入らないよなっていう。みんなその自覚はあるから、手を抜いてない曲が20曲揃った、というところでしょうか。でんでけ 問題があったとしたら、(2025年リリースの)アルバム『バックドロップシンデレラ』の楽曲をどれくらい入れるかぐらいじゃない? あの時点で俺らの中でいちばんいい!というアルバムを出したばかりで、入れたいってなったら結構入っちゃう可能性があったんで。豊島 確かに。で1枚目の20曲はかなり網羅できて、バランスよくできたかなって。鬼ヶ島 結果的にMVになってる曲も多くて、やっぱりわかりやすく情報が詰まっててキャッチーな曲が多いのかな。アサヒ 短いライブでやってる曲ばかりではないのもいいなって思う。でんでけ 1曲目の“晴れ舞台でウンザウンザを踊る”ができたのもだいぶデカいんじゃないかな。豊島 “晴れ舞台でウンザウンザを踊る”は新日本プロレスさんとの話が突然出てきて作ったんですよ。そのままあれよあれよという間にMVまで作ってライブでも定番になって⋯⋯最初は(ベストアルバム用の)新曲を作る気だったもんね? そのつもりで選曲してたところに“晴れ舞台~”が入ってきて。だからレコーディングするものがないねっていう話になって、2枚目の発想につながった(笑)。──その2枚目がまたすごいじゃないですか。豊島 もはや2枚目が僕の中ではメインみたいな(笑)。──前半の10年から変わらず全国でライブをし続けてきたことによって、本来はそんなに被ってなかったラインも含めて様々な出会いや繋がりができていったであろう10年を象徴していると思っていて。どういう発想でやってみようと思ったんですか?豊島 最初のベストは6~7曲くらい再録して新曲も入っていたけど、今回は再録したところでそんなに大きく変わらないだろうし“晴れ舞台~”もあったので、あれ? やることないな?というところから⋯⋯確か、結構前にどこかのレーベルの社長と打ち上げで話してた時に「過去曲は擦り倒したほうがいいんだよ!」みたいな。アサヒ 言い方!(笑)。豊島 っていうところから、いろんな方々にお願いして過去曲をいろんな見え方ができるようにしたら面白いかなっていうアイデアが出てきました。(収録曲には)パターンも複数あって、たとえば“本気でウンザウンザを踊る”だったらMAYSON’s PARTYにホーンを入れてもらってるし、“とんでけ鳥”に至ってはトップシークレットマンに頼んだらまったく別のものが出てきたり(笑)。でも作品としてはひとつの言葉でまとめたいから、今回は「フィーチャリング盤」という言葉にしてます。

──それにしても、この顔ぶれが揃うバンドは他にいないですよ。豊島 この人が歌ったらどうなるんだろう?とか、合うだろうなっていう方に、アホの振りして「この曲をノリでやってよ!」とお願いしました。たとえば、“日本一のあの富士山に登りました”は実際に登った人と、その原因になった人(※過去にピアノゾンビ・アキパンマンによって豊島と打首獄門同好会・大澤会長が半ば強制的に富士山に登らされた)だし、“フェスだして”に関してはフェス出てない人にやってもらおうかなと。──そうなんだろうなと思いました。豊島 ははははは!──この曲のメッセージをいちばんリアルに発することのできる人たちへの継承じゃないけど、すごくいいなあと思いました。豊島 やっぱり言霊があると思うんで、《だせ》と歌ってたら出れるようになるんじゃないかな。この曲は池袋Admのお客さんも入れて、みんなでワイワイやりながら公開レコーディングして、その模様はYouTubeにも出しました。
次のページ(“バズらせない天才”での玉屋2060%との制作は)普通に勉強になった。ヒットソングってこうやって作るんだよ、みたいな(笑)
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