Rihwa@EX THEATER ROPPONGI

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まるで太陽のように、無尽蔵と思えるほどの膨大なエネルギーを放ち続けるステージだ。2012年のメジャー・デビュー以来、約1年と9か月を経て今年4月にメジャー1stアルバム『BORDERLESS』を発表し、オリコン最高位10位を記録したRihwaの最新ツアー。故郷・北海道でスタートし、福岡、名古屋、大阪と繰り広げられて来たツアーのファイナルの舞台は、東京・六本木 EX THEATER。メジャーでのシングル曲やアルバム収録曲はもちろん、インディーズ時代の楽曲や未音源化作品、さらには新曲、と多彩なナンバーを歌いこなし、バンド・セットにソロ弾き語りにと趣向を凝らす約2時間。持ちうる限りの技術とエモーションを注ぎ込んでなお、元気が有り余って仕方がない。そんなRihwaの姿に、あらためて舌を巻く一夜であった。

辣腕サポート・メンバー4人が揃ったステージ上に、続いて両手をかざしながら中央へと進み出るシルエットがひとつ。アコギを抱えたRihwaは「Tokyo, are you ready!?」とさっそく鮮烈極まりない掛け声を飛ばし、メジャー・デビュー曲でありアルバム『BORDERLESS』の冒頭にも配置されていた“CHANGE”を繰り出す。《晴れのち曇り所により雨/何を着ていけばいいの?》という歌い出しの、うら若く生活感に満ちた疑念を投げ掛ける歌が、強い開放感をもたらすハイトーンのコーラス部へと展開していった。凛としてパワフルな彼女のヴォーカルの魅力を、一発で伝えるナンバーだ。“Little Tokyo”で《ガラスの靴を履いて笑顔のままで行くよ》と歌うRihwaは、ステージ上では真っ白いハイカット・スニーカーを履き、バネ仕掛けになっているかのような身体で跳ね回っている。

“Don’t be afraid!”を披露すると、ここで両腕を広げながら「『Rihwa “BORDERLESS” TOUR 2014』へようこそお越し下さいましたー! おかげさまで全公演、ソールドアウトです!!」と挨拶し、アルバム曲が続く形で“LOVE ME DO”へと向かってゆく。フロアにはシャボン玉が降り注ぐ華やかな演出が加えられていたが、バンドの音像はと言えばゴリッゴリのリズム&ブルースだ。そこから、人の愛と業をめぐる歌詞が大きなインパクトを残す3rdシングル曲“モンスターのかくれんぼ”を豪快なバンド・サウンドと共に叩き付けると、孤独なエモーションにまみれるインディーズ時代からのレパートリー“なぞれ”や、全英語詞の美しいシングル曲“Last Love”、そして「言葉でうまく伝えられないとき、私はよく手紙を書くんですけど、次の曲は、手紙を綴るように書いた曲です」と一言添えて披露された“約束”。序盤8曲のうち、過去5作のシングル曲中4曲が披露されてしまった。

快調に飛ばすステージは、サポート・メンバー4人が一旦捌けてRihwaの一人舞台と化す。「『BORDERLESS』は私のルーツを知って欲しいというアルバムで、今日は皆さんに原点を観て貰いたいなと」。そんなふうに語りながら弾き語りで披露するのは、“NOSEBLEED”という一曲だ。カナダ留学時代に友人が歌詞を書いてくれたというナンバーで、「鼻血」を意味するタイトルゆえにこれまではマネージメントから演奏を控えさせられていた、というエピソードも語りながら楽しげにプレイする。「アハハハハ! まさかこの曲を1700人の前でやるとは!」」とご機嫌なRihwaは、その共作者の友人が来場していることも紹介していた。続いて、7/1から配信リリースが決定しているという新曲“シュークリーム”だ。グリコ『ポッキー』のCM曲なのにこのタイトルでいいのか、とここでも笑いを振り撒きつつ、記念日なのに仕事で帰れない、そんなOLの高まるフラストレーションを沸々と歌い上げてゆく。そして“春風”のカップリングだった“愛するということ”。弾き語りが映えるナンバーだがそれ以上に、さすが弾き語りメインでキャリアを積み重ねてきたRihwa、一人舞台巧者なところを見せつける時間帯になった。

同じく“春風”のカップリング曲だった“Lovely Country”では、ギタリストとキーボード奏者のみをサポートに迎えると、「みなさん、私のパーカッションになってくれますかー!?」とインタラクティヴな空間を作り上げつつ満場のハンド・クラップを浴び、かつての留学先であるカナダ/オンタリオ州ベルビルへの想いを賑々しいカントリー・ソングとして放つ。再びドラマーとベーシストが加わると、“変わらないコト”に続いて未発表のサマー・ソング“TO:Summer”の涼しげなサウンドにグッド・メロディをなびかせ(ついでに長い髪をなびかせる仕草も見せていた)、「夏の風をお届けしましたー。さて、実は私、春の歌も持っていまして(笑)。春の風を届けたいと思います!」「大切な人と過ごした時間を思い出しながら、聴いて貰えたらと思います」と楽曲に込めた思いを語り、珠玉のバラード曲“春風”を披露するのだった。

Rihwa@EX THEATER ROPPONGI
大阪公演で「パンダ」と名付けられたという白黒カラーのSG(ネーミング候補では「おにぎり」と競っていたそうだ)を抱えると、ステージ背景にRihwaのアーティスト・ロゴを背負って“Tell me what you want”からダイナミックに煽りまくる爆音ロックの終盤へ。TVドラマの主題歌に起用された美しいバラードのシングル曲群は彼女の名前を広く知らしめてくれたが、やはりあの芯が強くキュートなハイトーン・ヴォイスは、豪快なロック・サウンドが実に良く似合う。チャーミングなフックが弾ける“It’s you!”を挟み、ここでも人間の業を強く見据えるヘヴィなナンバー“CREATURE”が燃え盛る。本編最後は、フロアのそれぞれの顔が笑顔に染まる“カラフル”で色とりどりのリボンがキャノン砲から放たれ、Rihwaは歌いながら率先して振り回していたタオルを頭上高く放り投げるのだった。

アンコールに応えると、「いやー、終わっちゃったよ、どうしよう……うん、そうだね! Rihwaの歴史は始まったばかりだ! 在日韓国人の4世としてこの世に生まれて、そんなに意識してなかったんだけど(笑)。留学とかして、在日っていうのを突きつけられて。でも、国籍とか目の色とか肌の色とか、そういうものを全部すっ飛ばしてくれるツールがこの世にはあるんだ! と思って。『BORDERLESS』というタイトルは、自分で表現するならこれしかない、というぐらいの感じで決めました」「平日、休日って、このままずっと続いたらどうしようって思うけど。でも、みんなは凄いパワーを持ってるって信じてて。また明日からいってらっしゃい、またここに帰って来てねという気持ちを込めて、歌います」。そんなふうに語って彼女は、アルバムの最終トラック“bird”を披露していった。そしてフィナーレは、執拗なまでのコール&レスポンスでオーディエンスに声を求めながら、“whatever”での完全燃焼を迎える。マイクを置いたRihwaは生の声であちら、こちらと感謝の言葉を伝え、最後にはステージ中央で「私は必ずどこかで歌い続けているので、またどこかでお会いしましょう!!」と声を張り上げていた。強い信念と根拠を運ぶその声に、より多くの人々が出会うことを願う。(小池宏和)

セット・リスト

01 CHANGE
02 Little Tokyo
03 Don’t be afraid!
04 LOVE ME DO
05 モンスターのかくれんぼ
06 なぞれ
07 Last Love
08 約束
09 NOSEBLEED
10 シュークリーム
11 愛するということ
12 Lovely Country
13 変わらないコト
14 TO:Summer
15 春風
16 Tell me what you want
17 It’s you!
18 CREATURE
19 カラフル

アンコール
01 bird
02 whatever
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