空想委員会@赤坂BLITZ

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≪所詮夢だって 笑われてもいい/ひたすら自由に描くよ ただ白黒の世界に色をつける≫
今年6月にフルアルバム『種の起源』でメジャーデビューを果たした空想委員会が、全国12ヵ所を廻る「空想委員会メジャーデビュー記念ワンマンライブツアー『空想進化論の証明』」の終点・赤坂BLITZへ辿り着いた。冒頭に引用させてもらったのはツアータイトルにも入っている“空想進化論”という曲の一部である。本編ラストで鳴らされたこの曲がバンドにとっての全力のストレート球で放たれ、オーディエンスがそれを全力で受け止め、会場全体が多幸感に包まれる。「空想」という単語をバンド名に持つこと、学校という設定を貫くこと、ヘタレ男子目線の曲を鳴らすこと。その誠実なサウンドでバンドのすべてを大肯定していくような景色があの瞬間確かにそこにあった。以下でその模様をレポートしていこうと思う。

「キーンコーンカーンコーン」とチャイムの音が鳴ると同時にオーディエンスがフロアの前方へ詰め寄る。委員長こと三浦隆一(Vo・G)、佐々木直也(G)、岡田典之(B)、サポートメンバーのテディ(Dr)がステージに登場すると、「ファイナル赤坂、始まるぞー!」という佐々木のシャウトを皮切りに“八方塞がり美人”をドロップ。そのまま“カオス力学”“難攻不落ガール”へと続ける。両足を大きく開いてステージの真ん中に立つ三浦の声は真っ直ぐに会場を貫いていき、「遊ぼうぜー!」などと曲間で何度も叫んでいた佐々木は自身の楽器からキラーフレーズを繰り出しまくる。そして岡田とテディはアイコンタクトを交わしながら息を合わせ、底辺からバンドのボルテージを押し上げていく。音の真芯を毎回ガッチリと捉えてみせるバンドのサウンドが実に頼もしい。集まったオーディエンスへ三浦が改めてメジャーデビューの報告をすると、会場で配られたパンフレットに沿って今回のライヴのテーマの説明を始める。ツアータイトルにある「空想進化論」とは、空想科学者の三浦・DARWINが提唱した理論で、「頭の中で理想の姿を空想することで、進化の先を明確にし、方向性とそれに向かうエネルギーを生み出すという説」なのだそう。「モテモテ委員長を空想すると、それと実際の委員長との差が浮き彫りになる。その差を一つひとつ埋めていって進化していけば、Perfumeとお食事に行ける日が来るかもしれない!」と三浦が具体例を付け加える。結局、三浦・DARWINは学会を追放されてしまったらしいが、「先祖に代わって私がそれを証明します!安全かつ健全に暴れて、全員が『今日はいいライヴだった』と言えるライヴを目指していこうね!」と会場に呼びかけると、オーディエンスは「はーい!」と元気よく返事をしたのだった。

空想委員会@赤坂BLITZ
“悪天ロックフェスティバル”の祭囃子×ロックなサウンドでライヴが再開すると、“ラブトレーダー”では三浦が弾くシンセサイザーや佐々木/岡田のコーラスワークが浮遊感を演出する。“完全犯罪彼女”でのサイケデリックなサウンドがスピード感に拍車をかけると、“残響ダンス”ではミラーボールも回ってフロアが上下に大きく揺れる。ここで一転、アコースティックギターに持ち替えた三浦がいくつかのコードを爪弾き、 “エリクサー中毒患者”へ。こういったバラードが芯のある音で真っ直ぐ鳴らされるから、音一つひとつには胸に迫るものがある。真摯なバラードソングに会場全体が息を呑んで聴き入った。佐々木が鋭利なカッティングを刻み始めると、目にはサングラス、両手にはマラカスという完全浮かれモードな三浦が「ダンスしようぜー!」と会場を煽ってコール&レスポンスがスタート。そのまま始まった“空想ディスコ”では佐々木のシャウトやジェスチャーも絶好調。岡田はスラップを交えたソロプレイでオーディエンスを沸かせ、会場のテンションは沸点を迎えた。MCで三浦が「小学生のとき好きだった女の子が来ていて楽屋にも会いに来てくれたのに『ウイッス』としか返せなかった」という本ツアーの八戸公演でのヘタレエピソードを明かしたあとは後半戦へ。“エンペラータイム”からはアッパーチューンが並ぶ。“主の機嫌”では4人揃ってキメを確実に固めていく場面と各々が楽器を一気に弾き倒す
/唄い倒す場面を対比させ、メリハリをつけた展開で進んでいく。「私を愛したまえー!」と三浦が絶叫したあとには、佐々木はB'zの“ultra soul”を織り交ぜたソロを披露してフロアからは大歓声が。「私の見る限り、皆さん、空想した通りに進化しましたね。これまさしく『空想進化論』であります!」。三浦がオーディエンスへ特大のはなまるをプレゼントすると、「僕らもなりたいバンドのイメージを持って頑張っていきます。みなさんも日常的に『空想進化論』を使ってみてください。頑張ったあとにはこうやって集まって、報告会と打ち上げをやりましょう!」とライヴでの再会を約束。圧倒的な光を持って鳴らされた“空想進化論”で大団円を迎えたのだった。

空想委員会@赤坂BLITZ
フロアからの「居残り」コールに応えて(空想委員会のライヴではアンコールのことを「居残り」と呼ぶ)、4人が再登場。ツアーファイナルということで、佐々木、岡田、テディの順にツアーでの思い出が語ったあと、三浦から自主企画ツアー「大歌の改新」の開催と10月8日に控えたニューシングルのリリースが告知される。「唄っている人間は変わりませんが、初心に還るという意味でお届けしたいと思います」と“独占禁止法”を演奏したのち、「ラスト、ありったけの波動を食らえー!」と“波動砲ガールフレンド”を発射。前へ前へとどんどん転がっていくバンドのサウンドを背に佐々木が「赤坂ー!」と呼びかけると、オーディエンスが大音量で「イェーイ!」と返す。赤坂BLITZを満たす熱量の大きさがこのツアーの成功を証明していた。(蜂須賀ちなみ)

■セットリスト

01.八方塞がり美人
02.カオス力学
03.難攻不落ガール
04.悪天ロックフェスティバル
05.ラブトレーダー
06.自然選択説
07.完全犯罪彼女
08.残響ダンス
09.エリクサー中毒患者
10.サヨナラ絶望人生
11.空想ディスコ
12.エンペラータイム
13.雨男のメソッド
14.主の機嫌
15.切illing Me Softly
16.空想進化論

(encore)
17.独占禁止法
18.波動砲ガールフレンド
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