今年6月に1stミニアルバム『いつでも夢を』をリリースしたプププランド。そのリリースツアーのセミファイナル公演であるスリーマンライヴが、下北沢BASEMENT BAR にて行われた。ギターロックの中にフォークに通ずる哀愁と奇天烈な展開を潜ませたHelsinki Lambda Club、フックありまくりの楽曲＆キャラクターを武器にサイケで踊らせるオワリカラ……と、盟友2組からのバトンを受け継いで、トリはもちろん、本日のホスト、プププランドである。

吉田拓郎“結婚しようよ”をSEに登場したメンバーたち。ウエスタン系のカッティングが印象的な“メトロ”がライヴの幕開けを告げた。曲中、「よろしくお願いいたします！」と西村竜哉（Vo・G）が威勢よく挨拶したのを境に燦々と晴れ渡る4人のサウンド。富田貴之（Dr）の弾むビートがさらに高揚感を掻き立ててくれるようで、オーディエンスは思い思いのリズムでゆらゆらと身体を揺らしていた。ハスキー気味の声を力一杯奮わせるのは、ステージの中心に立つ西村。きっと今この時間が楽しくてしょうがないのだろう、大きく口を開き笑いながら演奏しているのが、坊主頭の田中隆之介（B）。そして数々のソロをキメる一方、「ツアーで太ったから東京のためにダイエットしてきました。見てください！」とアピールし、乙女のような心を覗かせたのは吉川淳人（G）である。カーステレオから流れてきそうなギターフレーズが特徴的な“おっぱい”はノスタルジックな色味だが、《おっぱい》を連呼するサビ（コーラス付き）はやはり妙な迫力と団結感に近い何かを生み出している。赤い照明がマッチしていた歌謡テイストの“ラスト・タンゴ・イン・元町”を経て、「ロマンチックナンバー、聴いてください」と西村が告げる。続く“ミスタームーンライト”では暗転の中ミラーボールを月に見立てる演出を敢行。場内は暗転、「月」の光のみが輝く中、少なめの音数のアンサンブルがその空間に溶けるようだった。《君が笑うまでオワリカラとヘルシンキを聴いて踊ろうぜ》とこの日ならではの歌詞替えもあった“ダンス・ダンス・ダンス”のあと、ラストナンバーは“ヘイガール、涙を拭いて”。UKロック直流の、前へドライヴするビート。互いにアイコンタクトを取りながら心底楽しそうに演奏するメンバーと、ステージへ視線を向けながら高々と手を上げるオーディエンス。本編ラストのこの光景には、プププランドの音楽が愛される理由がギュッと凝縮されていたのだった。

鳴り止まない拍手に応えてのアンコール。先のアクトにて、「ソロのときにバットのようにギターで素振りをする」という吉川の十八番芸を、ヘルシンキ・佐久間公平（G・Cho）が一足先にやってしまう……というネタがあったのだが、それに対してノーリアクションだった吉川。「今の時代、ギターソロはちゃんと弾くでしょ」と容赦のないコメントをし、会場の笑いを誘った。一方、西村は「いろんなバンドが溢れてる中で（ヘルシンキとオワリカラは）超オルタナティヴで誰にもできないことやってて。みなさんの前で一緒にやれてよかったです」とこの日の充実を言葉にする。そして西村が亡き友人へ向けて書いたレクイエムだという“BABY”でライヴは終了。バンドの音がBASEMENT BAR いっぱいに満ちる中、「またどこかで会いましょう！ありがとう！」という叫びへの返事のように、フロアから温かな拍手が起こったのだった。（蜂須賀ちなみ）

●セットリスト

01. メトロ
02. バイ・バイ・バイ
03. おっぱい
04. ラスト・タンゴ・イン・元町
05. ミスタームーンライト
06. ダンス・ダンス・ダンス
07. ヘイガール、涙を拭いて

（encore）
08.BABY