イグル&ハートリィ @ 代官山UNIT - イグル&ハートリィイグル&ハートリィ

イグル&ハートリィ @ 代官山UNIT

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とにかく不思議なバンドだ。LAを拠点に活動する5人組バンド、イグル&ハートリィ。ここ日本では、まだそのバンド名すら知らないという人が多いだろうが、それも当然だろう。海外でも昨年夏ごろデビューしたばかりのニュー・カマーながら、早くも日本デビューに超先駆けての来日公演が実現。さすがに満員とはいかなかったが、耳の早いリスナーや、早くもそのサウンドの虜になったファン達が多数詰め掛けていた。本国アメリカに先駆けヨーロッパでデビュー・アルバム『&ゼン・ブーム』が発売され、収録曲“イン・ザ・シティ”がUKチャートで5位を獲得するなどブレイク中の彼ら。懐かしいようでいて新しい、妙にクセになるエレクトロ・ポップ・ロックを、エネルギー全開でぶちまけてくれた。そして、このバンドのパフォーマンスが、妙に後味引くものだった。理屈抜きで楽しんだもの勝ちな底抜け感がありつつ、軽薄なようでいて新種誕生を思わせるミステリアスさを漂わせているのだ。リアル・タイムで80年代を経験した人なら、苦笑を通り越して爆笑してしまいたくなるほどベタで激キャッチーなトラック。80’sポップ、AOR、ファンク、ヒップホップからメタル、はたまたニュー・レイヴからレイドバック系のサーフ・ロックまで、あらゆるサウンドの美味しいところをピックアップしてみせる、その身も蓋もなさぶりは、ポップおたく君達による究極のシャレなのか、はたまた天然児なのか。エレクトロ全盛のUKシーンにあっても、ここまで振り切れたサウンドを鳴らしたバンドはさすがにいなかった。この突き抜けぶり、最高! 個人的には、音楽の方向性はまったく違うけど、エンター・シカリやCSSのライブを初めて観たときにも感じた「こんな人たち、いそうでいなかった!」という新鮮な驚きと興奮を感じさせてくれるようなライブだった。とにかくやたら曲が良いのだ。過剰なまでのポップネスに気後れしそうになるが、そのうちそんなことがどうでもよくなるほど、どの曲にも通底してあるメロウネスが、なんとも胸に沁みてくる。作曲はMCの片割れジャーヴィスが手がけているようだけど、このバンドが放つただならぬオーラは、このソングライティング力によるところも大きい。そして、演奏がやたら濃密でファンキー。的確かつ力強いドラム、レトロなランニングを着込んだベーシストが奏でるベースラインも変態的にグルーヴィ。そして、パワーで押すだけではなく、しなやかさもある。US西海岸シーンの底深さを背景に感じさせる、見応え、聴き応えのある演奏ぶりなのだ。MC2人のラップは、エミネムなんかにも通じる軽快さとコミカル感があって、安定感も十分。サラサラ長髪なマッチョMC(ジャーヴィス)と、アダム・ブロディを彷彿させるナード系MC(サム)というタイプの違う2人の組み合わせもかなりのビジュアル・インパクト。特にジャーヴィスは、のっけから上半身裸で登場、ジーパンも際どい腰履きで、かなり強烈な個性を放っていた。ただし、マッチョ君ながら、ヨーロッパで先に人気が点くアメリカ・バンドに共通する、文系ヴァイブを漂わせているところが面白い。毒を食らわば皿までといった勢いの、ディープなポップ愛を持っているタイプに違いないような気がする。今後、大化けしていく可能性があるかもしれない。夏フェスでの来日ステージが実現したら、彼らのパフォーマンスは、とてつもない威力を発揮しそう。是非観てみたい。(森田美喜子)
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