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●セットリスト
01. 新時代
02. JUST DANCE! feat. らっぷびと/アリレム
03. 踊
04. VERSUS feat. らっぷびと/アリレム
05. 劣等上等 feat. らっぷびと/アリレム
06. アイウエ
07. ROOTS メドレー
08. チキチキバンバン
09. もってけ！セーラーふく
10. 感電
11. ゴールデンタイムラバー
12. Overdose
13. 水星×今夜はブギー・バック
14. おジャ魔女カーニバル!! feat. 東山奈央
15. RABのうた
16. de messiah
17. おどるポンポコリン
18. 日進月歩
19. 紅蓮華
20. 二人目のジャイアン　BANDパート
21. シュガーソングとビターステップ
22. はじめてのチュウ
23. エンカウント
24. Gun’s&Roses
25. ようこそジャパリパークへ
26. NEW ERA

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REAL AKIBA BOYZ（リアルアキバボーイズ/以下、RAB） にとって5年ぶりのツアーとなった「THE REAL AKIBA BOYZ ONEMAN LIVE 2023 RAB TOUR “LIVE NEW ERA 9”」が、4月1日にTOKYO DOME CITY HALLでファイナル公演を迎えた。彼らにとって過去最大規模の会場であり、チケットはソールドアウト。ペンライトを握り締めて開演を待ちわびる保護者（RABファンの呼称）の高鳴る胸の内を、会場内に足を踏み入れるや否や感じ取ることができた。

出演者を紹介するムービーが流れたあと、鳴り響いた二人目のジャイアンのバンドサウンド。1曲目に届けられたのは“新時代”（オリジナルはAdoによる映画『ONE PIECE FILM RED』主題歌）。今回の公演に参加しているシンガーのひとりであるAiRyAの歌声が会場いっぱいに広がる中、ステージ前方の広いスペースで踊り始めたRABの9人――涼宮あつき、けいたん、DRAGON、ムラトミ、マロン、ネス、ゾマやかじゃない!、とぅーし、龍。チェック柄のシャツをパンツイン、頭に巻いたバンダナといった「オタクのファッション」とされているアクの強い衣装を身に纏いながら繰り広げるダンスの切れ味が、とにかく半端ではない。ヒップホップ、ブレイクダンスのスキルを磨き、国内外のダンス大会で実力を評価され続けているメンバーたちの雄姿を目の当たりにし、保護者の間から歓声が上がる。「新時代」を意味するツアータイトル「NEW ERA」のオープニングを飾るにふさわしい華麗なパフォーマンスだった。


バンド：二人目のジャイアン、シンガー：MASA（二人目のジャイアンのボーカリスト）・AiRyA、ラッパー：らっぷびと・アリレム――という編成が演奏、歌、ラップを後方で担当し、RABが前方で踊るパフォーマンスのスタイルは、広いステージ上で抜群に冴えわたっていた。ダンスのフォーメーションを次々と変化させ、時折、大技も成功させる様から片時も目を離せない。そして随所で発揮される遊び心も、大きな見どころだった。アニメ『うる星やつら』OPテーマ“アイウエ”（オリジナルは、MAISONdes“アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti”）で踊った時は、同アニメのヒロインであるラムを彷彿とさせる大胆なトラ柄の衣装のメンバーが登場。保護者の盛り上がりに拍車をかけていた。


RABのオリジナルメンバー、通称「ROOTS」の5人による貫禄たっぷりのメドレーを経て突然スタートした寸劇。アニメ『パリピ孔明』のコスプレをしたメンバーたちの賑やかなやり取りのあと、同アニメのOPテーマ“チキチキバンバン”が披露されたが、ふざけた扮装＋超一級のダンスパフォーマンスの併せ技を見つめていると、不思議な刺激で頭がクラクラしてくる……。この曲の直後には、ゲストの東山奈央もセーラー服姿で登場。スペシャル編成で届けられたのは、アニメ『らき☆すた』OPテーマ“もってけ！セーラーふく”。東山もブルーのボンボンを両手に持ち、RABと一緒に元気いっぱいのパフォーマンスを繰り広げてくれた。


“感電（龍ソロ）”、“ゴールデンタイムラバー（ゾマやかじゃない!ソロ）”、“Overdose（とぅーしソロ）”、“水星×今夜はブギー・バック（ネスソロ）”――RABの次世代メンバーとして2019年に加入したネス、とぅーし、ゾマやかじゃない!、昨年加入した龍のソロパフォーマンスのあと、ゲストの東山奈央が再登場。“おジャ魔女カーニバル!!”が披露された。大人気声優の歌声に包まれながら、RABのパフォーマンスが一際エネルギッシュさを増したように感じられたのは、おそらく気のせいではあるまい。「アニメが大好き！」というメンバーたちの共通項が、RABの大切な原動力であることを再確認させられた。そして、簡単な5つの振り付けを保護者と一緒に踊りながら盛り上がった“RABのうた”のあと、スペシャル共演のラストを飾ったのは、両者がYouTubeの動画でコラボレーションをして話題となった東山のオリジナル曲“de messiah”（アニメ『勇者、辞めます』EDテーマ）。バンド演奏でこの曲をパフォーマンスするのは彼女にとっても初だったそうだが、RABのメンバーと一緒に踊りながら歌声を響かせる姿が実に楽しそうだった。


“おどるポンポコリン”、“紅蓮華”など、アニソンの名曲の数々がさらに届けられた後半。TOKYO DOME CITY HALLが思い入れの深い会場である旨が、途中のMCで語られた。2008年に開催された「ニコニコ大会議」に出演した際、RABが立ったのが、このステージだったのだ。当時はいい反応を得られず、悔しい想いをした場所に約15年ぶりに戻ってきて、たくさんの保護者の歓声を浴びたことは、RABにとって大きな喜びだったに違いない。初期メンバーのひとりである涼宮あつきのMCが思い出される。「15年前って、いろんな同期の奴らがいたんですよ。あんまり言いたくないけど、みんないなくなっちゃったんです。同期の奴らに言ってやりたい。俺らは諦めなかったよって」――たくさん迷い、挫折を味わいながらも、信じたものを貫き続けている者ならではの重みを持った言葉だった。


“シュガーソングとビターステップ”、“はじめてのチュウ” 、“ようこそジャパリパークへ”などが届けられた終盤の盛り上がりもすさまじかった。そして、ラストを飾ったのは、このツアーのために「REAL AKIBA BOYZ feat. 二人目のジャイアン」名義で書き下ろされたオリジナルソング“NEW ERA”。「RABのアニメ化」と「日本武道館公演」という明確な目標を掲げつつ、さらにその先へと進もうとしている彼らの強い意志が、まざまざと伝わってきた。


こうして終演を迎えた「LIVE NEW ERA 9」。レーザー、ライティングでステージをドラマチックに彩ったhuezの空間演出も素晴らしく、全篇が視覚、聴覚、心に強く訴えかけてくる場面の連続だった。ヒップホップが音楽、ダンス、グラフィティを含めたカルチャーであることが示すように、音楽は様々な要素とリンクすることができる。アニメ、音楽、ダンスを結び付けながら表現活動を重ねているRABは、まだまだ様々なエンターテインメントの形を提示していくはずだ。彼らの今後への期待も大いに高まるライブだった。（田中大）

REAL AKIBA BOYZ　オフィシャルサイト
提供：株式会社アブストリームクリエイション
企画・制作：ROCKIN'ON JAPAN編集部