オープニングアクト・小林太郎のパフォーマンスの後、いよいよ本編の幕を切って落としたのは、日本が世界に誇るいなせな戦闘的祭典集団、スカパラだ。初期ストゥージズが全速力でカリブ海を泳いで渡るようなダーティーでどパンクな新曲“STORM RIDER”に始まり、2010年一発目の谷中節「戦うように楽しんでくれよ!」も早々に決まってZepp Tokyoが燃え上がる。1月末に発売予定のタワーレコード30周年記念コンピ『NO MUSIC,NO LIFE.SONGS』のために書き下ろされた“WORLD SKA CRUISE”は、ライブではルーズでレイドバックしたイイ感じのトロピカル・チューンだが、コンピ収録バージョンではこれが更にズッブズブのダブになっているので、楽しみにして頂きたい。弾けっぱなしの必殺スカンキン・ナンバーあり、背中を押すような熱いメロディと歌もありの、盤石なステージングがさすがであった。●Caravan
キーボードに堀江博久、ベースに高桑圭、ドラムスに白根賢一(この日誕生日!)という鉄壁の布陣で、長いイントロから“Wagon”を歌い出したCaravan。続けてあの黄金の旋律“ハミングバード”も投下される。「今年、年男なんですよ。寅です。タワーレコードを通じていろんな音楽に出会ってきました」と告げて、今度は歌詞の中で様々な伝説的ミュージシャンの名前が連呼される“Soul Music”を披露していた。時間や空間をすっ飛ばして多様な音楽遺産を消化・昇華する彼の世代感覚って、確かにタワーレコードなどの大型輸入盤店の登場に育まれた部分も大きいと思う。なぜそう思うかというと、年齢が同じだからだ。渋谷店とか新宿店に行こうものなら、何回もエスカレーターに乗ってうろうろするのを辞さない感じ。あっちこっち手を出すくせに、ゴチャゴチャ鳴っているのは嫌いな感じ。いや、勝手な想像だけれども、そういう気がする。●怒髪天(アコースティック)
ここまで書かなかったが、今回のイベントには前説やら各アクトの呼び込みやらといった節目節目で「タワーレコードお台場店・一日店長」に就任した怒髪天・増子がステージに現れオーディエンスを沸かせていた。ここでエプロン姿の怒髪天が揃って登場し、前述の30周年コンピに収録された直球タイトル“NO MUSIC,NO LIFE.”を披露するというサプライズが。この曲、年末のCOUNTDOWN JAPAN 09/10で聴いたときはパンク・ナンバーだったが、本来はカホンを絡めたアコースティック・サウンドで、アレンジもMPB風の小洒落たもの。増子のボーカルも穏やかだが、グッド・メロディとまっすぐなメッセージ性だけで怒髪天たらしめるという、何とも技ありの一曲である。●GRAPEVINE
「タワー30周年おめでとうございます。あと、新成人の方、おめでとうございます。こんなとこ来とるヒマあったら成人式いけ。今年は寅年で、年男なんですけども。ウチにはトラの歌がないんで、ブタの歌でも」などと田中は飄々と笑いを誘ったりしていたが、いざパフォーマンスとなればその“豚の皿”をはじめ、荒ぶるロック・サウンドと奥行きのある美しい音響の間を行き来しつつ独特の世界観を見せつけていたバイン。コーラスで爆発的に盛り上がるアグレッシブな“COME ON”などの祭典向けなサービスも良かった。それにしても今回の出演アクトは、表現スタイルこそ違えどそれぞれに「カッコイイ」としか言い様のないものをしっかり持ち合わせていて困る。じゃあ一番カッコイイのはどれなんだという話だ。バインのステージで最後に披露されたのはなんと、キャリア初期のタワーレコード限定カセット・シングル“TIME IS ON YOUR BACK”であった。●The Birthday
増子の呼び込みで「誰にでもひとつあるもの!魂の誕生日!」とアナウンスされていたが、アニバーサリー・イベントにうってつけのThe Birthday。あと今更ながら、こんなにポピュラーなバンド名ってのも無いな、と思った。現在、怒濤のシングル連発攻勢に入っている彼らはバカでかい音量できっちりそのシングル群“ディグゼロ”“愛でぬりつぶせ”“ピアノ”をプレイしてゆく。そしてタワーレコード30周年限定シングル“マディキャットブルース”とカップリングの“狂っちゃいないぜ”がマジで素晴らしかった。余りに素晴らしかったので、会場で先行販売されていたのを我慢できずに買ってしまった。ポイントカードのポイント付かないのに。今回の本編ラスト“涙がこぼれそう”は、チバがこれまでよりも歌詞の一言一句に感情を込めるようにして歌い、伝えようとしていたのが実に印象的だった。なお、アンコールの“ローリン”では、曲中のブレイク部でイマイが「30周年スゴイ!君らもスゴイ!」と叫んでいて、そこにチバも「スゴーイ!」と乗っかっていた。妙に可笑しい。どれもカッコイイんだよ、という結論で幕を閉じた今回のアニバーサリー・パーティ。タワーレコードには「こんなカッコイイがある」「こんな楽しいがある」「こんな凄いがある」を、ずっと提供し続けていってもらいたい。これからもどうぞよろしくお願いします。(小池宏和)セットリスト小林太郎(オープニングアクト)
1.ドラグスタ
2.ソフィー
3.安田さん
4.美紗子ちゃん東京スカパラダイスオーケストラ
1.STORM RIDER
2.Like Jazz On Fire
3.Give Me Back My Ball
4.WORLD SKA CRUISE
5.SKA ME CRAZY
6.KinouKyouAshita
7.White Light
8.Pride Of Lions
9.愛の讃歌Caravan
1.Wagon
2.TRIPPIN’ LIFE
3.ハミングバード
4.Soul Music
5.Music
6.FREE BYRD怒髪天(アコースティック)
1.NO MUSIC,NO LIFE.GRAPEVINE
1.FLY
2.NOS
3.豚の皿
4.Wants
5.COME ON
6.TIME IS ON YOUR BACKThe Birthday
1.ディグゼロ
2.カレンダーガール
3.愛でぬりつぶせ
4.狂っちゃいないぜ
5.ピアノ
6.マディキャットブルース
7.いとしのヤンキーガール
8.涙がこぼれそう
9.Nude Riderアンコール
9.ローリン