在日ファンク@新代田FEVER

在日ファンク@新代田FEVER

在日ファンク@新代田FEVER
SAKEROCKのハマケンこと浜野謙太率いる7人組のファンク集団「在日ファンク」。改めて文字にしてみると、極めて異質な存在感を放つバンド名だなあと思う。彼らを知らない人に「在日ファンク」と言ったら、十中八九「?」というリアクションが返ってくることだろう。しかし、彼らのことを知る人にとってはこのバンド名、彼らの本質をこれ以上ないぐらい的確に表現している素晴らしいバンド名なのだ。今日の彼らの2部構成のワンマンライブで、そのことを改めて確信した。開演予定時間を10分ほど過ぎた頃、フォーマルな衣装でキメたハマケン以外のメンバーがぞろぞろとステージに現れ、いきなりタイトなファンク・セッションがスタート! 遅れて出てきたスーツ姿のハマケンも、のっけからファンクの神様ジェイムズ・ブラウンばりのキレのあるダンスとシャウトを存分に見せつける。ハマケンなのに、ちょっとかっこつけすぎてないか? というぐらいのパフォーマンスが、今日も最高に決まっている。続いてデビューアルバム『在日ファンク』に収録されている“罪悪感”、“ダンボール肉まん”を連続でプレイ。《おれなんか生きてて罪悪感》、《ダンボール肉まん》と、どことなく負のオーラが漂うオリジナリティ溢れる歌詞をソウルフルにシャウトしながら細かいステップを決めるハマケンと、メンバーのシャープなグルーヴが絡まり合う、ちょっと異様で、しかし圧倒的に正統なファンク・ショウが目の前で息つく間もなく展開されていく。軽やかな仰木亮彦のギター・カッティングから始まった“京都”では、ライブでの定番パフォーマンス「キョウト&レスポンス」を披露。「キョウト! キョウト! キョウト! キョウト!」という突拍子もないリフレインがオーディエンスのテンションをどんどん焚き付けていき、終わる頃には面白いぐらいフロアが揺れている。続いて「カラアゲ! オンナ! セックス! というようなファンクを変えていこうと思って作りました。」という新曲“城”を披露。自分をがんじがらめにして動けなくしてしまうほどに強固な「自我の城」を、《いっそのことこんなもの燃えちまえばいいのに》とシャウトするハマケンの姿が、オーディエンスの「楽しい!」という感情と、それ以外のもやもやした、できればちょっと目を背けていたいような後ろめたい感情を引き出していく。「こうしてみんな、お客さん、来てくれてありがとう! 何でかわかんねえけどファンクっていう音楽に劣等感があったし、誰も聞かねえだろうと。もうこんなの今までたくさんやられてきただろうと思ってたんだけど、聴いてくれたスチャダラパーのBOSE先輩に『今の時代でこれをやったら面白い。とりあえず出せ』と言われて音源にしてみたら、なんか新しい世界が見えてきちゃって。哲学でも『世界は言葉によって分節されている』って言った人がいて、例えばロボットの目は物を見るだけのものだけど、人間だとそれだけじゃなくて、目の前にいる女の子を『可愛い』と思うし、それで世界が輝いて見えることもあるけれど、でもある時それが全部バーン! となって、あれ? こんな感じだっけ? と思うこともあって。…説教臭くなるんで歌にしました。もう全部言っちゃったけど」というMCから、プレイされた“知らなかった”では、喪失を想起させる負のエモーションが、メンバー全員のファンク魂によって底抜けにファンキーなグルーヴに変換されて大爆発。そして最後は“最北端”の一部を足早にプレイして、ひとまず第一部は終了。15分程度の小休止を挟んで、再び現れたハマケンを除いたメンバー全員によるセッションで第2部がスタート。福島“ピート”幹夫のエモーショナルなサックスと、仰木の鋭いリズムギターを中心に生まれるファンク・グルーヴに、体の底からじわじわと高揚感が湧き上がる。それが最高潮に達すると同時にハマケンが登場! そしてプレイされた“最北端”では、永田真毅がタイトなビートのドラムソロを披露。ハマケンも負けじと「引きこもってないで最北端に行こうぜー!」と、オーディエンスを煽っていく。次の“ばくだんこわい”では福島のオーヴァーブロウによって牽引される緊張感のあるグルーヴが炸裂し、終わるやいなやフロアから大歓声が巻き起こる。「黒人が好きならエロい歌を作った方がいいと言われた。大事なところにモザイクをかけるとエロくなる。だから俺は大事なところを○で隠して“○○ファンク”という曲を作った。でもエロくならなかった! それは俺が、在日ファンクだからだ!!」という熱いMCをかました後に披露された新曲“○○ファンク”。「日」本に存「在」するファンクバンドである在日ファンクのアイデンティティであったり、レゾンデートルであったりというものを饒舌に語る役割を果たしていて、それこそバンドのテーマソングにしてしまっても良いぐらい「在日ファンク」を見事に表現した名曲だ。日本人である自分達がファンクを作っても黒人のようなエロさは出せないし、どうしてもカラッカラに乾いた陽気なサウンドを鳴らそうとしても、それは自分達にとってリアルな音ではなくなってしまう。それならば俺たち日本人にしか書けないような歌詞、出せないような音で勝負するしかない、という気概が強く感じられる魂のこもったプレイを見せる。ラストはハマケン自身も俳優として出演している金曜ドラマ『モテキ』のコンピレーション・アルバムに収録されている、全参加アーティスト中唯一の完全新作となる楽曲“もしも明日”をプレイ。バンドの、厳しさすら感じさせるほど引き締まったセッションに、終わった瞬間、本日最大の大歓声。そして大きな拍手とともに本編は終了。大量のハンドクラップや「ハマケン出てこーい!!」という愛のあるガヤに迎えられたアンコールで披露されたのは“神頼みファンク”。ハマケンの「この後ちょっと燃え尽きよう」というMCで覚悟を決めたオーディエンスを、メンバーはJBとそのバックバンドのJ.B.’s.が本当に乗り移ったかのような渾身のファンク・セッションで最後まで踊り狂わせて、全17曲の笑えて踊れる何でもありのファンク・ショウを完遂し、颯爽とステージを後にした。全編を通して、彼らは終始「在日ファンク」であり続けた。「そんなの当たり前だろ」と思うかもしれないが、本当にそうとしか言いようのないくらい、「日本人が日本でファンクをやったらどうなる?」という問いの答えを高いレベルで体現しようとしていて、見事にそれを成し遂げていたのである。ユーモラスでちょっと毒のある、極めて日本人的な湿気混じりの情緒や感性を、極めてJBマナーに忠実なリズムとグルーヴで鳴らす彼らの音楽、これはもう、既存の「ファンク」という枠に収まりきらないほどの強烈なオリジナリティを擁した「在日ファンク」以外の何物でもない。(前島耕)[セットリスト]第一部
1. イントロエスケイプ
2. 罪悪感
3. ダンボール肉まん
4. 京都
5. 城
6. のこってしまった
7. 知らなかった
8. 最北端(早)第二部
1. イントロ
2. インスト
3. 最北端
4. ばくだんこわい
5. 環八ファンク
6. ○○ファンク
7. きず
8. もしも明日アンコール
1. 神頼みファンク
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