6月26日:名古屋CLUB DIAMOND HALL、6月27日:大阪BIG CATと回ってきた対バン・ツアー=「9mm Parabellum Bullet&凛として時雨 ガチンコツアー『ニッポニア・ニッポン』」のファイナル。触れた瞬間に火傷どころか身体の芯まで燃え尽きそうなエクストリーム・ロックの若き2大激流。その衝撃を目撃しようという血気盛んなオーディエンスの間には、早くも張りつめるような緊迫感が漂っている。そして開演予定時間の19:00ジャストに客電が落ちると、悲鳴のような歓声!足下くらいしか照らされていない薄暗いライティングの中、先攻:凛として時雨が登場。会場のテンションにあえて一度冷気を浴びせるように、抑えめのボリュームで345が“赤い誘惑”を歌い始め……そして、TKのスクリームとともに一気に爆音大放出! フロアは何かの暴動か抗議集会のようなカオティックな熱気に包まれている。続く“DISCO FLIGHT”でそのカオスは瞬時にタテノリへと姿を変え、それはもうBLITZの天井を吹き飛ばさんばかりだ。凛として時雨のバンド・アンサンブルは実にスリリングだ。どっから聴いても3ピースには思えない爆音の分厚さを支える345のベース・サウンド。アルペジオ/ハーモニクス/激烈コード弾きといった多彩なテクを瞬時にスイッチして不穏さをかき立てていくTKのギター。8ビートを叩き壊す勢いで乱打しまくるピエールのドラム。そして、天使の囁きと断末魔の悲鳴の間を行き来する345&TKの歌声……“nakano kill you”“感覚UFO”“Telecastic fake show”と立て続けに演奏される彼らの曲が、ただひたすらに人間の心の闇を暴いていく。途中、“Re:automation”の曲紹介で「9mmの野獣ヴォーカル・卓郎さんからのリクエストにより1曲やりたいと思います」と話した以外、ほとんど口を開かなかったTK。しかし終盤、「バキバキのキラー・チューンをやっていきたいと思います」と静かに牙を剥くようなMC。そして“想像のSecurity”“テレキャスターの真実”“CRAZY感情STYLE”を連射! だが、そんな高揚したフロアを海の底深く沈めるように、ラストの“傍観”の≪僕は知らない 僕は見えない 僕は汚い 僕は消えたい≫の歌詞が重く響く……ワンマン・ライブのような濃密な空気感。ほんの一瞬、対バン企画であることを忘れかける。そして……20:30、後攻の9mm Parabellum Bulletの登場! ひたすら真摯かつストイックな空気の凛として時雨のアクトとは対照的に、ロックそのものをもどしゃめしゃにぶっ壊すかのように暴れ回り、叫び、ポーズを決め(これは滝)、時に演奏を放ったらかして立ち位置移動して歌ったりダンスしたり(これは和彦と滝)、さらには演奏を放ったらかして相撲だかプロレスだかを始め(これも和彦と滝)……と、狼藉の限りを尽くしまくる。だが、それが9mmのロック感を台無しにするどころかより高めているのが、1音ごとに高まるオーディエンスの歓声と熱気を観ればわかる。そんな乱暴極まりないパフォーマンスを挟みつつ、それでもバンドは何事もなかったように複雑なアンサンブルを鳴らし、タイトなキメをばっちり叩きつけてくる。滝&卓郎の轟音ギターが絡み合い、和彦のゴリゴリのベースが地を這い、ちひろの爆裂ドラムが聴く者すべてをロックの彼方へと駆り立てる。メタルもパンクもロックンロールも呑み込んだ、衝動そのもののようなロック。中盤の“Heart-Shaped Gear”“Discommunication”の時点で、場内は湯気が立つほどの興奮に包まれている。最高だ。「ニッポニア・ニッポンへようこそ! 今日でファイナルですけど、非常に名残惜しいです」と、ここまで司会不在な感じで進んできた一夜をようやく仕切るように卓郎がMC。「ニッポニア!」「ニッポン!」と全力でフロアとコール&レスポンスを決めてみせるのも可笑しい。さらに「もう7月に入ったので、今日からレコーディングします! 秋にアルバム出そうと思います! アルバム出します!」とアナウンスすると、BLITZを割れんばかりの大歓声が支配する。製作中のアルバムから披露されたのは、リバーブのきいた単音のリフが不穏さをなぞる曲と、爆走メタリック・フラメンコ(?)とでも言うべき性急さを持つ曲の2曲。いずれも9mmの「その先」を切り開きにいく意欲的な曲だ。アンコールで「現代のマッド・プロフェッサー・TK氏のリクエストにお応えしたいと思います」との卓郎の曲紹介とともに披露されたのは“Butterfly Effect”。TKも卓郎も、お互いのバンドの曲の中でも比較的自分たちのバンドに近い楽曲を選んでいるのが面白い。最後に鳴り響いたエクストリーム最上級の楽曲“Punishment”が、この対バン・ツアーのグランド・フィナーレのように弾けまくって、終わった。パフォーマンス的には対称的なように見える時雨と9mm。しかし、どこかハイブリッドな質感を持っていて、ロックの強度しか信じてないような時雨/9mmのサウンドや楽曲は、「自分の気持ちなんか省みてる余裕はない」というような、それこそ死地に赴く兵士を思わせるような切実さに満ちているという点で極めて近い。というか、この2組に共通するのは、切なさとか優しさとかあったかさとかかわいらしさとか、そういうファジーで危うい人間っぽさに1mmも甘えてないというか、むしろそういう部分をごっそり削ぎ落として焼き払った後に、感情なんかではビクともしない強靭なロックを打ち立てようとする姿勢だろう。と、今日のライブを観て改めて思った。その姿勢の強さと正しさを120%感じさせてくれるアクトを、どちらのバンドも存分に観せてくれた。(高橋智樹)凛として時雨
1.赤い誘惑
2.DISCO FLIGHT
3.nakano kill you
4.感覚UFO
5.Telecastic fake show
6.Re:automation
7.NEW SONGS
8.ラストダンスレボリューション
9.想像のSecurity
10.テレキャスターの真実
11.CRAZY感情STYLE
12.傍観9mm Parabellum Bullet
1.Wanderland
2.Mr.Suicide
3.Sleepwalk
4.Wildpitch
5.Heart-Shaped Gear
6.Discommunication
7.新曲
8.新曲
9.The World
10.Supernova
11.marvelous
12.sector
13.Beautiful Target
アンコール
14.Butterfly Effect
15.Talking Machine
16.Punishment
9mm Parabellum Bullet × 凛として時雨 @ 赤坂BLITZ
2008.07.01 00:00