黒猫チェルシー@恵比寿リキッドルーム

黒猫チェルシー@恵比寿リキッドルーム

黒猫チェルシー@恵比寿リキッドルーム
黒猫チェルシー@恵比寿リキッドルーム - pics by Ohagipics by Ohagi
今年5月のメジャーレーベル移籍以降、全国各地の夏フェス、イベント、学園祭に出演し、破竹の勢いでシーンを席巻しまくっている4匹の黒猫達による『マニフェスト的ツアー』。バンド初となる大阪、名古屋でのワンマンを終えて、今日は恵比寿リキッドルームでのツアーファイナル。今日の機材の配置は通常と異なり、ドラムセットが後ろでなくステージの前方左に設置されていて、メンバーが横一列になるという並びになっている。何か特別なギミックを披露してくれるのだろうか。そんな期待もあってか(?)、開演前にもかかわらずフロアには熱気がたちこめていた。開演時間を5分ほど過ぎた頃だろうか。客電が落ち、フロアの大歓声にのってステージ上に現れた澤竜次(G)、宮田岳(B)、岡本啓佑(Dr)の3人による轟音のセッションで今日のライブはキック・オフ。少し遅れて、裸に学ランというお馴染みのスタイルに身を包んだ渡辺大知(Vo)が登場し、雪崩れ込むように“嘘とドイツ兵”をプレイ。序盤から、大知の吐き出すようなボーカルと澤の超攻撃的なギターソロによって無尽蔵に膨れ上がっていく獰猛なグルーヴが、アガりきったフロアにどんどん熱を送り込んでいく。スタートから休むことなく爆音で暴れ回る黒猫達は、続いてスターリンのカバー“負け犬”をプレイ。スターリンのオリジナルに忠実ながらも、どこか黒猫チェルシーらしさを感じさせるつんのめったグルーヴが、その甘いルックスからは想像できないほどに暴力的で力強い岡本のドラミングに牽引されて大爆発。《負け犬! 負け犬!》とフロアに噛み付く大知の姿は、文句無しにカッコイイ。その後も大知が体をくねらせながらセクシーなボーカルを聴かせる“女にロック”、「ジャーン!」という澤のイントロのギターリフが、オーディエンスを一発でノックアウトする“Eの流星”と、今までのライブ活動で鍛え上げられてきた初期からの楽曲を連射し、堂々としたパフォーマンスを見せつける。ここで、来春発売されるニューアルバムに収録されることになるであろう新曲を2曲続けて披露。どちらの曲も今までの黒猫チェルシーの楽曲群とは少し毛色の異なる、ロックンロールの王道を行く豪快な歌ものナンバーだ。中でも、2番目の新曲が個人的にもの凄く良かった。他の追随を許さない唯一無二のオリジナリティがあるわけでもなければ、現代を生きる若者の心を意識しているかのような曲でもない。しかし、彼らの感性のみを依りどころにして生まれた言葉と音が、我々の心の深い部分を揺さぶって、前のめりになって転がっていく力を与えてくれる、理屈を抜きにしてオーディエンスに強烈に「届く曲」。かつてブルーハーツなどの偉大な先人達が鳴らしてきたそれを今、弱冠20歳の黒猫チェルシーが鳴らしているのだ。そんな頼もしすぎる光景に、思わず目頭が熱くなった。続いて大知が本ツアーのグッズのメインモチーフとなったSAWA HENDRIX(宮田がデザインを担当)についてのMC。演奏中の鬼気迫るような緊張感溢れる姿と打って変わって、本当にどこにでもいそうな純朴な青年らしさ全開のMCに、フロアはゆるいムードに包まれる。しかし次の“南京錠の件”のイントロで澤のギターリフが高らかに鳴り響いた瞬間、弛緩した会場の空気が一瞬にして引き締まり、狂気に満ちた彼らのステージが再開。毎度のことながら、このギャップには本当に驚かされる。澤ボーカルでプレイされたNIRVANAの“Territorial Pissing”、大知ボーカルのキラーチューン“廃人のロックンロール”と、矢継ぎ早に繰り出される彼らの十八番であるバキバキのガレージサウンドも、ライブを重ねるごとに破壊力を増している。続いて、本日3曲目となる新曲を披露。宮田のメロディを奏でるかのように跳ね回るベースラインに、澤の必殺のギターリフ、そして大知の青臭さの残る詞が乗っかる形のこの曲も、今までの彼らにしてみるとやや歌ものよりといった印象を受ける。現段階では確かなことは言えないのだが、今日披露された新曲を見る限り、もしかしたら今の彼らのモードは、今までのカッコよさや気持ちよさを追求し続けてきたガレージサウンドから、しっかりと歌を届けるという方向に向かっているのかもしれない。そしてラストは“黒い奴ら”、“ベリーゲリーギャング”を爆音でかき鳴らし、約1時間10分のあまりにも濃密な本編はひとまず終了。アンコールでは澤が「命は一つ〜、人生は一回〜、だから命は捨てないようにね〜」と、加川良の“教訓Ⅰ”の一節を引用し、最後の原曲無視の「御国のために殺しなさい!」というシャウトから、“正義感ある殺しは許される”をプレイ。そんな最高に決まったスタートのせいか、今まで冷静にプレイに徹していた宮田もこの時ばかりはハイテンションで、ドラムセットの上に登ったり、ステージ上をせわしなく動き回りながらベースをかき鳴らしている。途中、曲の間奏部分を宮田と岡本がループさせて、澤の歌のようなMCのようなシャウトに、大知が煽りを入れていく形での2人の掛け合いが始まる。全てを聞き取ることはできなかったが、澤がロックをやり続けることへの覚悟を叫んでいたのが印象的だった。最後は大知が「俺たちの音楽を受け止めてください! そして、この俺を受け入れてください!」とシャウトして、澤と二人でフロアにダイブ。若さゆえの青さと衝動、そして偉大な先人達への思慮と尊敬が絶妙なバランスでせめぎあう、壮絶なライブが終わった。ちなみに本編中のMCで言っていたのだが、今日の会場となるリキッドルームの至る所にはSAWA HENDRIXのイラストと共にQRコードが印刷された紙が貼られていて、そのQRコードを読み込むと「裏猫チェルシー」という彼らの公式HP上の隠しコンテンツにアクセスできるようになっている。そこでは今日のファイナルを含むツアーの様子が11月9日(火)から順次配信されていくそう。一応QRコードがなくてもPCの公式HP上からアクセスできる仕組みになっているので、行ったけどうっかり読み取るのを忘れてしまった黒猫ファンや、今日来られなかった黒猫ファンの方はぜひ探してみてほしい。きっとその映像を一度でも目にするだけで、きっと次のライブに何としてでも足を運びたくなることだろう。そう断言してしまっても一向に構わない程の求心力と爆発力を、今日の黒猫チェルシーは放っていたように思う。(前島耕)
[セットリスト]1. 嘘とドイツ兵
2. ユメミルクソブクロ
3. ノーニューヨーカー
4. 毛にからまって
5. ショートパンツ
6. 負け犬(スターリンカバー)
7. 女にロック
8. Eの流星
9. 新曲1
10. 新曲2
11. 南京錠の件
12. オーガニック大陸
13. Territorial Pissing
14. 廃人のロックンロール
15. 新曲3
16. スピーカー
17. オンボロな紙のはさみ
18. 黒い奴ら
19. ベリーゲリーギャングアンコール
1. 正義感ある殺しは許される
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