moe. @ 赤坂BLITZ

moe. @ 赤坂BLITZ

moe. @ 赤坂BLITZ
moe. @ 赤坂BLITZ
moe. @ 赤坂BLITZ
moe. @ 赤坂BLITZ
moe. @ 赤坂BLITZ - Photos by Douglas AllsoppPhotos by Douglas Allsopp
昨年のフジ・ロック・フェスティバルのタイムテーブルを目にした人なら、最終日=7月30日のフィールド・オブ・ヘブンにひときわ長い3時間の出演枠があったのをご記憶だろう。その、ヘブンの大トリを飾ったバンドこそが、今や復活フィッシュやザ・ストリング・チーズ・インシデントとともに世界最高峰のジャム・バンドと称されるmoe.(モー)である。ロック、ファンクを軸にジャズ、サンバ、プログレまで取り込んだ楽曲に剛軟自在のジャム・セッションをこれでもかとばかりに大胆かつ緻密に盛り込んでハイ・クオリティな陶酔空間を描き出す彼ら。その4年ぶり来日となるジャパン・ツアー4公演=2月9日:心斎橋クラブクアトロ/10日:名古屋クラブクアトロ/11日:赤坂BLITZ/13日:横浜ベイホールの全箇所に関してライブ・レコーディング&翌日には各公演を別個のライブ盤として販売(「各公演3〜4枚組予定」!)という徹底した「録って出し」迎撃態勢がとられているのを見ても、moe.の「楽曲」だけでなく「演奏」そのものがいかに切実に待ち望まれているかが伝わることと思う。しかも、そういう企画も込みのツアーであるため、当然ながら名古屋/大阪、そしてこの日の東京公演も、セットリストのカブリは1曲もなし。おそらく最終日の横浜もそうだろう。各公演3時間分&カブリ曲なしのセットリストを4本用意して来日ツアーに臨み、しかもその楽曲からジャム・パートに至るまで超絶プレイを実現させるバンド、世界広しといえどそう多くはないだろう。前の公演を観て来たらしい開演前のファンの「ジャムの部分が長くてさ……」という会話も、それに続くのは「……だから退屈だった」ではもちろんなく「……それがすっげえよかったんだよ!」である。会場内の「コンバンワ、トキオ! ヒサシブリ!」と呼びかけるアル(G・Vo)の声に応えるうおおおお!という歓声も、ただならぬ熱を帯びて響く。彼らの醍醐味は何と言っても、観てるだけで脳内の時間軸がおかしくなるほどの長い時間をかけてクライマックスへと昇り詰めていくライブ展開にある。ただでさえ短くない楽曲がアメーバのように連結し合いながら、時に30分40分切れ目なしのジャム・セッションを構成していく。途中30分ほどの休憩を挟んで2部構成+アンコールでぴったり3時間に及んだこの日も最初のアクトも、カントリー・ブルース調の名曲“Bring You Down”から始まるパートが10分、次の“Lazarus”が10分、6分半の“Threw It All Away”を挟んで、“Puebla”〜“Brent Black”の一大アンサンブルが約40分! しかも“Brent Black”へ至るつなぎの部分ではロブ(B・Vo)/アル(G・Vo)/チャック(G・Vo)の3人が退場してジム(Perc・AG)とヴィニー(Dr)だけになってのパーカッション・ソロ→ジム退場してヴィニーのソロ→替わって登場したロブの超絶スラップ・ソロ→再び5人演奏へ突入して両翼のアル&チャックのツイン・リード炸裂!……と自在にフォーメーションを変えながら見せ場を作っていく。「鋼鉄のリフやシンガロング必至の歌メロでアーティストとしてのキャラクターを打ち出していく」というよりは、「圧倒的な技術に裏打ちされたプレイを無限に積み重ねることによって、1つの連続した演奏という磁場の中に緊迫感と高揚感を充塡していく」とでも表現すべきものだ。だからこそ、この日のBLITZのフロアには、アーティストのエゴやカリスマ性ではなく、ひたすら高純度な快楽だけが広がって、音に身体を委ね踊り回るオーディエンスを包み込んでいく。曲の演奏中だろうが何だろうが、フロアにいる人たちが次々にビールを買いに出ちゃあすいすいカップを空け、また次のビールを求めてロビーへと出ていく。もちろん定量分析したわけではないが、「ワンマン・ライブ会場でのビール売上に占める『演奏中にビール売れる』率」でいえば世界最高レベルの数値を叩き出すに違いない。雪が降りしきる真冬の東京ど真ん中とは思えない熱気とトリップ感! 休憩の後、5人の放つ音は“Water”の細波のようなツイン・ギターから再びゆったりと絶頂へ向けて熱を増し始めていき、“Okayalright”“32 Things”の20分にわたるファンク・ブルース絵巻で真っ白にスパークするような恍惚の風景を描き出し……終了。まだ踊り足りない! 飲み足りない!というファンのコールに「イツモイツモ、スミマセン!」(byアル/原文ママ)と応えつつ5人が鳴らしたのは、トロピカルなビートがクールでゴキゲンなダンス空間を演出する“Buster”! 時折80sクリムゾンのようなミステリアスな表情を垣間見せつつ、会場一丸となって至上のクライマックスへ! 3時間も音楽を浴び続けたすぐ後に、また観たい! もっと観たい!と思わせる、マジカルでプレシャスな音楽体験だった。日本公演は残り1本、13日・横浜ベイホールにて。招聘元:SMASHのサイトによれば当日券も出るようなのでぜひ。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on