BBCラジオの地方局DJ、そうとは知らず差別用語を含んだ30年代の流行歌をかけ失職

BBCラジオの地方局DJ、そうとは知らず差別用語を含んだ30年代の流行歌をかけ失職

BBCの地方局の番組DJが誤って人種的な差別用語を含んだ楽曲を自身のオールディーズ番組でかけてしまい、その結果、失職に至っている。

DJはデヴォン局で活躍していたデイヴィッド・ロウで、スウィング・ジャズなどをかける番組を担当していたが、問題の曲はアンブローズ・アンド・ヒズ・オーケストラによる"太陽が帽子をかぶっている"だった。この曲は日本でも上演されることの多いミュージカル『ミー・アンド・マイ・ガール』で使われていることでも知られているが、現在のヴァージョンは歌詞が修正されている。ただ、問題の1932年ヴァージョンでは「ニガー」という歌詞が含まれていた。

32年のDJキャリアを誇るロウは「単純なミスだった」と事件を説明していて、上層部にはお詫びのコメントを放送させてほしいと願い出て、それがかなわない場合には辞職したいと申し出たが、上層部の判断で謝罪放送は行われず、ロウの辞職が決定したという。BBCではミスを防ぐための社内体制の改善の余地はあったとして、ロウに職場に止まるように呼びかけたというが、事件によって極度のストレスにさらされたため、戻る意思はないことを明らかにしたという。

問題のヴァージョンは4月27日に放送されてしまい、リスナーからの苦情を受けてBBCでは事情調査に乗り出したが、この際、ロウは「直截な詫び状」をしたためて、これをBBCに提出していたという。ロウは次のように語っている。

「謝罪を放送させてもらうか、やめるかのどちらかだと申し出たんです。残念なことにBBCは後者を選んだわけです。同僚らとは特に言い争いなどがあったわけではありません。むしろ見え方をどうするかという体制が、今回の過ちへの対応を間の抜けたものにしてしまったのだと思います。わたしたちは見え方をどうするかという側面にあまりにも流されがちだと思います。でも、人は普段の日常会話においても、言葉の渡り綱を渡っているようなものなのです。30年以上に亙って放送に関わってきましたが、わたしは初めてこんなばかな過ちを冒してしまいました。とても恥じ入っています」

その一方でBBCは次のように声明を発表している。

「デイヴィッド・ロウに対しては番組『シンガーズ・アンド・スウィンガーズ』への出演を続けるように申し出ましたし、ロウにはぜひBBCの電波に戻って来てもらいたいと打診しました。今回の過ちへの対応はもっといい形でやれたかもしれないというデイヴィッドの意見もわたしたちも受け入れますが、デイヴィッドがもう続けたくないというのであれば、これまでBBCで番組を担当してもらったことを感謝しますし、この先のご成功を願っています」

なお、BBCテレビの人気自動車番組『トップ・ギア』では司会者のジェレミー・クラークソンが放送されていない映像で「ニガー」と語っていたことが問題となり、更迭問題にも発展したが、クラークソンの人気ぶりを配慮してBBCでは司会者の交代を見送った。

(c) NME.COM / IPC Media 2014
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