ニュー・オーダーのバーナード・サムナーが先頃刊行した回想記『Chapter and Verse』についてピーター・フックは「残忍で意地の悪い」内容になっていると語っている。
ピーターは2007年にニュー・オーダーを脱退し、バンドもその後実質的に解散したが、ピーターが10年からジョイ・ディヴィジョン時代のアルバム全曲ライヴを各地で敢行し始めると、バーナードは11年にニュー・オーダーを再結成させている。
バーナードはピーターとの関係について「最終的には耐えがたいものになった」と語っていて、回想記の中でもその詳細を説明しているが、ピーターはバーナードについて「証言者として信用が置けない」と語っていて、今回の回想記についても「書店としてはこれをファンタジーの棚に置くべきか悲劇の棚に置くべきかわからないはずだ」と皮肉っている。ビルボード誌に寄稿したピーターは次のようにこの回想記の信憑性について疑問を投げかけている。
「バーナードは言っていることが矛盾することが多かったし、今回の本の語りも俺に対してとても残忍で意地の悪いものになっているよ。俺たちは誰であってもそれぞれに思い出は違っているものだし、あることについても違った形で記憶しているものだよ。けれども、バーナードはどうやら、自分の目的にそったことしか記憶には残っていないようなんだよ」
また、ピーターは本の中で自身がニュー・オーダーやジョイ・ディヴィジョンのアートワークを手がけたピーター・サヴィルについてバンドに取りついた「寄生虫」と呼んだと触れられていることについて、これはまったくのでっち上げだと次のように反論している。
「このくだりを読んだ時、俺にはまったくこんな記憶がないからピーター(・サヴィル)に電話を入れたんだ。それで『ピート、本当のことなら申し訳なかったと思うんだけど、俺にはこんなことを言った記憶がまるでないんだ』と謝ったところ、ピートは『いや、ぼくもそんな憶えはないんだよ。これは実際にあったことじゃないし、なぜそう思うか教えてあげるね。もし、そんな風に喧嘩別れをしたことがあったんだとしたら、ぼくたちはどこかでその仲直りをしなきゃならなかっただろうし、そういうことがあったのなら、ぼくだってしっかりそのことは記憶していたはずだからだよ』って言ったんだよ。それ以来、バーナードは俺にとって、とても信用など置けない証言者となったんだよね」
さらにいったん解散したニュー・オーダーをバーナードが2011年に再結成させたことの正当性についての疑問をピーターは次のように指摘している。
「俺がバーナードの回想録を特に問題視するのは、この本がニュー・オーダーというブランド名と意志を2011年に掠め取ったことの正当化のみにしか使われていないからなんだよ。俺はこれ(ニュー・オーダー再結成)は法を冒す行為だと思っているし、だから、今も法廷で闘っているんだ。この本はまるで、その行為が正しかったと、自分やファンや、あるいは俺自身にまで言い聞かせようとする道具でしかないんだよね」
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