インディー2社がレコード・ストア・デイへの抗議として365日間1日1枚のリリースを発表

V.A.『Cathedral Classics Volume One』

イギリスのインディー・レーベルのソニック・カテドラルとハウリング・アウルは4月に開催されるレコード・ストア・デイに抗議する目的で、毎日特別リリースを行っていくという。

リリースの対象となるのはスペクターズとローレル・ミーツ・ジ・オブソリートのスプリット・シングルで限定365枚となっているが、ソニック・カテドラルはオフィシャル・サイトで、「レコード・ストア・デイとは毎日がそういうものでなければならない」と訴え、現在のレコード・ストア・デイに参加するための条件や決まりなどは「細々と経営している弱小のレーベルにはなんの恩恵にもなっていない」と訴えている。ソニック・カテドラルは次のように声明を発表している。

「わたしたちは選別されたショップやレコード・ストア・デイのオフィシャル・サイトから1日1枚限定でリリースを向こう1年間行っていきますが、これは毎日がレコード・ストア・デイであるべきだというメッセージのようなものでもあり、それと面白そうで向こう見ずなことだからやりたいのです。ただ、誤解していただきたくないのは、レコード店への嫌がらせとしてやることではないということです。わたしたちはレコード店のことは大好きです(一部はこうしたレコード店で販売されることになります)。それにレコード・ストア・デイそのものへの異議表明でもないのです。レコード・ストア・デイは本質的にはいい企画ですし、少なくとも2007年に始まった時点ではそうでした。今では実際のショップやショップのコミュニティーでの役割よりも限定販売される商品ばかりに注目が集まるものになってしまいましたが。

もしこれが抗議表明になっているのだとしたら、それはレコード・ストア・デイが成り果てている姿に対してのものです。結局は、毎年恒例の『BBCサウンズ・オブ』に始まり、マーキュリー賞で終わる、大手レコード会社各社で運営しているマーケティング戦略や、『レイター・ウィズ・ジュールズ・ホランド』への出演やグラストンベリーでのヘッドライナー出演と同様なイヴェントにしか過ぎなくなっているからです。それでも4月18日のレコード・ストア・デイにマムフォード・アンド・サンズの7インチ・シングルを買いたくて行列したり、ノエル・ギャラガーの12インチをイーベイで高価格で競り落としたりされたいのなら結構ですが、でも、そんなことはわたしたちにはまったく関係のない出来事なのです。U2はわざわざアイチューンズで新作をばらまいたのに、なんで今更世界中のレコード・プレス工場を押さえなければならないのでしょうか。それにアーハの"テイク・オン・ミー"も今年はあらためてリリースされると言います。もちろん、よくできたポップ・シングルですが、そんなものはオックスファムのショップで中古盤がいくらでも売っているはずです。

結局、規則や規制(最小プレス数、ユーザーとの直取引禁止などなど)のせいでレコード・ストア・デイは面白くないものになっていて、ソニック・カテドラルやハウリング・オウルなどの細々と経営しているレーベルにはなんの恩恵ももたらしてくれないのです。それでもまだわたしたちはレコード・ストア・デイから影響を受けているのです。それも悪い形で。たとえば、今現在スペクターズのアルバム『Dying』のヴァイナル盤は品切れとなっていますが、これはフー・ファイターズの残り物音源やザ・1975のEPや、誰も特に必要としていない歴史の遺産ロックの再発リリースが何百万と優先されていて、プレスの順番待ちを強いられているからなのです。チープ・トリック(安上がりな芸当)よりも高価な詐欺商法の方が横行しているのです。

皮肉だったのは、今回連絡を受けて問題の7インチ・シングルのプレスは延期となって、発送もレコード・ストア・デイの後になると通達されたことです。そこで工場を変えまして、うまくいけば最初のプレスが4月18日にリリースされることになります。間に合わなかったとしても、レコードを買うのと売るのにはまだ364日残されている換算になります……」

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