Takaはなぜ「俺たちは救世主だ!」と叫んだのか? ONE OK ROCK、圧巻のツアー最終日完全レポ

Photo by RUI HASHIMOTO[SOUND SHOOTER]
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Photo by Hajime Kamiiisaka

アルバム『35xxxv』を携え、5月より全国ツアー「ONE OK ROCK 2015 “35xxxv” JAPAN TOUR」を敢行してきたONE OK ROCK。2015年7月12日、その最終公演がさいたまスーパーアリーナにて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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なんてタフなバンドだろう。渾身の歌と演奏でもって、さいたまスーパーアリーナどころか世界を塗り替えようとする4人の姿に、ただただ圧倒されるしかなかった。最新アルバム『35xxxv』を引っ提げた約2年ぶりの全国アリーナツアー「ONE OK ROCK 2015 “35xxxv” JAPAN TOUR」のファイナルとなる、さいたまスーパーアリーナ2DAYSの2日目。北米デビューを目前に控え、世界基準のロックを鳴らすバンドとしてさらなる進化を遂げようとするONE OK ROCKの今が、リアルに映し出された一夜だった。

全公演でサポートゲストを迎えている本ツアー。この2日間のゲストは、最新アルバム『Blurry face』が全米1位を獲得し、注目度うなぎ上りのアメリカの2人組=twenty one pilots。鍵盤を基調としながら、時にポップに、時にダビーに咲き乱れる彼らの音楽は、邦楽とか洋楽とか関係なしにフロアを軽やかに揺さぶるダイナミズムに満ちていた。終盤にはメンバーふたりがステージを降り、観客の頭上でタムを打ち鳴らすという芸当も。音楽性は異なるが、キャッチーで躍動感あふれるパフォーマンスに、ONE OK ROCKに通じるようなスケールの大きさと熱いものを感じた、素晴らしいオープニングアクトだった。

そして。横一列に並んだ4人のシルエットが逆光に照らしだされる中、“Fight the night”の神秘的な旋律で幕を開けたONE OK ROCKのアクト。屈強でしなやかなバンドの肉体が、新旧はもとより柔剛の楽曲が入り乱れたセットリストによってこれでもかと見せつけられていく。“Memories”のポップな弾けっぷりといい、“Deeper Deeper”のトグロを巻くグルーヴといい、一縷の迷いもなく放たれるサウンドの破壊力は、尋常じゃない。何より驚くべきは、まるでアリーナ全体がひとつの生命体になったかのように、激しく鼓動を鳴らしていることだ。昨年の横浜スタジアムのライヴでも思ったが、バンドと観客がありったけの想いをぶつけて共鳴し合うONE OK ROCKのライヴは、凄まじいものがある。

しかし、ハイライトはこの後にやってきた。9曲目の“Liar”を終えたところで、Taka(Vo)のMCへ。さらなる進化を求めて今回初めてアメリカでのアルバム制作に臨んだこと、その過程は体力的にも精神的にもキツいものだったことなどを、丁寧な口調で伝えていく。そして「今はどんなアーティストに正面からぶつかっても負ける気がしません!」という頼もしい発言が。シーンを牽引する存在になってからも驕ることなく、常に冷静な発言をしてきたTakaが、ここまで自信に満ちた言葉を口にしたことが過去にあっただろうか。それが嘘のない想いであることは、最新アルバムの楽曲を乱れ打ちした後半戦のステージからも明白だった。

巨大なサークルモッシュを出現させた“Cry out”の気高くも壮烈な響き、アコースティック編成で届けられた“Good Goodbye”“Heartache”の祈り深さと包容力、「ONE OK ROCK史上最高にポップな時間」と始まった“Paper Planes”の底なしの明るさ――それぞれの方向性でストイックに磨き上げられた楽曲群が、エンターテインメントとしても、ロックアクトとしても最強と呼べるようなステージを作り上げていた。何より圧巻は本編ラストの“Mighty Long Fall”。満場のシンガロングとともに荒野を突き進むようなサウンドは、ここから世界を相手にロックの地平を切り拓いていこうとするONE OK ROCKの決意表明のようで、胸が熱くなった。

アンコール中に放たれた「俺たちは今の腐った音楽シーンをぶっ潰しに来た救世主だ。これからも音楽に限らず、お前らの力でいろんなものを変えてってくれ!」というTakaのシャウトが、最高にかっこよかった。着実にビルドアップしながら至上の風景を描き続けてきた闘争の音楽は、今後どれだけ強く、高らかに響きわたっていくのか。客席中のケータイの光が輝く中、満場のシンガロングで包まれた大ラス“Decision”の雄大な響きが、これからONE OK ROCKが突き進もうとする道筋を明るく照らし出しているように思えた。(齋藤美穂)


●セットリスト

1. Fight the night
2. The Beginning
3. Memories
4. 欠落オートメーション
5. Deeper Deeper
6. Stuck in the middle
7. Clock Strikes
8. Smiling down
9. Liar
10. Cry out
11. Good Goodbye
12. Heartache
13. Paper Planes(featuring Kellin from Sleeping with Sirens)
14. 3xxxv5
15. Take me to the top
16. Suddenly
17. 完全感覚Dreamer
18. Mighty Long Fall

(encore)
19. アンサイズニア
20. One by One
21. Decision

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