【ライブレポ】WEAVER、新たな一歩を踏み出したツアーファイナル!「みんなの笑顔を見ると間違いじゃなかったと思える」
2016.05.09 17:30
WEAVERが、5月6日にNHKホールで全国ツアー「WEAVER 11th TOUR 2016『Draw a Night Rainbow』」の最終公演を開催した。RO69では、この模様をライブ写真とレポートでお届けする。
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最新アルバム『Night Rainbow』は、前アルバムから3年ものブランクが空いてのリリースだっただけに、まさに「待望の」という言葉がふさわしい作品だった。もちろん、彼ら自身にとっても「待望の」リリースだったはずで、この年月を経たからこそ、強靭さや深みが増したような傑作に仕上がった。その作品を引っ提げてのツアー、そのファイナル公演がNHKホールで行われた。「ライブで演奏して、会場にいるみんなと曲を完成させていく」という思いが、まさにこの夜に結実したような、素晴らしいライブだった。
ステージの幕が降りて、杉本 雄治(Piano & Vocal)が「東京〜!」と叫び、アルバム1曲目の“You”でライブがスタート。まずは杉本がハンドマイクで歌い、奥野 翔太(Bass & Chorus)がピアノを弾くという変則的なスタイル。ドラムとピアノだけというシンプルな演奏なのに、はじけるように力強いサウンドが会場をのっけからヒートアップさせていく。途中、杉本がキーボードを弾いたり、ピアノに移動して奥野はベースを弾くという通常のスタイルに戻ったりと、演奏中に様々な編成に変わっていく様子が面白くて、彼らの音楽スキルの高さに思わず笑みがこぼれてしまう。
杉本は「3年という時間の中で、自信を持ってこれがいいと思える曲ができました」と、アルバムについて触れ、「今日はまだ何もミスしてない! 絶好調や!」と自ら宣言。ツアーファイナルということで、今回のツアーの出来事を振り返るようなトークも繰り出した。杉本が、名古屋公演で「大阪〜!」と叫んでしまったこと、札幌では「みんな1回しゃがんで『ジャンプ!』って言ったら飛んでね」と言っておきながら、「ジャンプ!」というのを忘れて曲を進行させてしまったことなどが、奥野によって暴露される。
アルバム『Night Rainbow』で見せた、EDMへのアプローチは今回のライブにも大胆に導入されていて、打ち込みを効果的に使っていたのが印象的だった。“マーメイド”では3拍子のゆるやかなリズムのイントロに幻想的なシンセ音を重ねて、奥野がキーボードでベースのような低音を奏で、まるで深海にいるかのようなサウンドを形作る。“クローン”では、色とりどりのレーザーが会場に向けて放射され、まるでアシッドジャズみたいにファンキーでフリーキーな演奏を聴かせる。続く“さよならと言わないで”、そして“KOKO”では、EDMビートに生音のドラムとピアノが加わって、素晴らしいグルーヴを生み出していく。生音ピアノのループの気持ち良さ! このアルバム曲連発の流れは圧巻だった。
終盤、杉本がアルバムリリースまでに3年という期間が経ってしまったことについて触れ、「長い間待たせてしまいました。東京に来てうまく行かないこともあったけれど、この3年の間に自分とちゃんと向き合えた気がします。自分たちの音楽を信じられるようになったし、それがみんなに届いていたらいいな」そして、「この曲がなかったら僕たちのことを知らない人はもっと多かったと思う。そんな大事な曲を」と言って“僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~”へ。普遍性を持つキャッチーなポップミュージックに、杉本の感極まりそうなボーカルが響く。
この夜は、どの曲もバンドとしてのアンサンブルが見事で、この3年の間に目覚ましい進化を遂げたことを実感させてくれた。音楽性の変化(というより広がりと言った方がいいか)は、演奏する楽しさも増幅させたかのように、本当にメンバー全員が楽しそうだった。とびきり楽しいピアノロック“トキドキセカイ”では客席の風景も大きく揺れた。杉本のテンションも上がりっ放しで、ついにはピアノの上に飛び乗り、そこからジャンプ! がしかし、着地でバランスを崩し「生まれて初めて尻もちついた、恥ずかしい(笑)」と思わずつぶやく。それを物ともせず、最後は《光が僕の手をひく時を》という歌詞を、無伴奏ですべての声を出し切るように強く強く歌いあげた。会場中全員の体の奥まで響くような、打ち抜かれるような声に大歓声が鳴り止まない。
「毎日生きていく中でしんどいこともあるけど、でもみんなの笑顔を見ると、これが間違いじゃなかったって思えます」という言葉の通り、いま、WEAVERにとってはライブが音楽活動の原動力になっているのだと思う。本編ラスト、アルバムのラストを飾る曲でもある“Hello Goodbye”での《僕は明日も歩いていく》という言葉の確かさが、今のWEAVERの力強さを物語っている。アンコールでは、“キミノトモダチ″でアカペラの美しいハーモニーを聴かせ、ラスト曲“Beloved”でも、美しいコーラスワークが光った。なんとも名残惜しいエンディング。照れくさそうに肩を組んで「ありがとうございます!」と深く深く頭を下げる3人。その時間の長さに彼らの思いが込められているようだった。次はライブハウスツアーが待っている。ライブを重ねるごとに進化していく楽曲、そしてWEAVER。これからの彼らがとても楽しみだ。(杉浦美恵)
●セットリスト
01.You
02.Shall we dance
03.くちづけDiamond
04.春色グラフィティー
05.管制塔
06.Welcome!
07.レイス
08.マーメイド
09.クローン
10.さよならと言わないで
11.KOKO
12.Life
13.僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~
14.ティンカーベル(ver.EDM)
15.Boys & Girls
16.トキドキセカイ
17.Free will
18.Hello Goodbye
(encore)
19.キミノトモダチ
20.Beloved
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