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    ぼくのりりっくのぼうよみが新作『ディストピア』で問う音楽の新たな価値

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    今年7月にEP『ディストピア』をリリースしたぼくのりりっくのぼうよみ。昨年の12月、高校3年生の時にメジャーデビューを果たし、打ち込みのトラックに乗せたラップで、現代社会を生きる手応えを冷徹なセンスのポップソングとして描く彼が、現在発売中の『CUT』(9月号)でロングインタビューに答えている。

    3曲の新曲が収められた今回の新作『ディストピア』で、彼は現代社会の中で感性を失っていく人々をさまざまな角度から切り取ってみせている。彼は、単にその様子を描写するだけでなく、CDそのものの価値についても問いかける。『ディストピア』のパッケージデザインを遺影のモチーフにしたり、曲に対応する小説を封入することで、CDというメディアの歴史の終点に向けたメッセージを送っている。

    「ただ音楽業界にいるだけじゃダメで、色々考えてやんなきゃいけないのがすごく面白い時代だなと思って。逆に今、音楽業界にいれてラッキーだなと感じております」

    さらに、彼はインタビューで現代社会に溢れるさまざまな言葉についても言及している。社会を冷静に見つめ、その様子を的確なリリックで表していく彼は、現代社会では言葉の種類が減っていたり、質が低くなっているという。

    「言葉っていうのは現実を認識するためのツールじゃないですか。それが減っていくっていうことは、認知できる現実が狭まっていってしまうことで。同じ印象を表すのにも10個の言葉で表現できる人と、1個の言葉でしかできない人がいたら、それは世界を見てる時の色の数が違うのと同じで」

    荒涼とした時代の風景を、新たなポップセンスで切り取って提示する新世代の才能は、ここからどこへ向かうのか。今後の活躍が楽しみになる必読のインタビューになっている。

    CUT 2016年9月号
    http://www.rockinon.co.jp/product/magazine/143292
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