『スティッキー・フィンガーズ』、『メイン・ストリートのならず者』と8作連続の全米No.1の快進撃を始めた70年代ザ・ローリング・ストーンズ。傑作『山羊の頭のスープ』をミックが語る

『rockin'on』2020年10月号より

「前のアルバム(『メイン・ストリートのならず者』)ほど、漠然とはしていない。あれはダラダラと長すぎて、俺自身、気に入らないところがあったからね。今度のアルバムはもっと考え抜かれている」


72、73年頃のライブにおけるローリング・ストーンズは、今もメンバー、ゲスト、全体のコンセプトなど、さまざまに形を変えながら続く、長き全ストーンズ史において最強のバンドだった。全ロック・バンド・ライブ史の中でもトップと言い切っていいかも、とさえ思う。

タイトで寡黙なリズム隊を土台にキース&ミック・テイラーのギターが自在に暴れ回り、その上でスウィングしまくるボーカリストによって生まれる空間は、ライブのスペクタクル、マジック、それらすべてを内包し振りまき、まさに奇跡だった。たぶんミック・ジャガーもそう感じているかもしれないのが、この当時のインタビューなどから感じられる。

自身をどこまでもエレガントに見せつつ、ライブではフロントマンとしてすべての熱と問題を受け止め、さらに自由度満点のメンバーたちのサウンド・アンサンブルを巧みに一つの道へと導いていく。

それはさながら68年に撮った<ロックンロール・サーカス>の団長の姿そのもので、まだまだロック・ビジネスが小規模な時代に、常に先を見据えて進む姿の重要性は、今振り返った方がわかりやすいだろう。 (大鷹俊一)



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『rockin'on』2020年10月号