EMIのユニバーサルとソニーへの吸収合併にイギリスのインディ・レコード団体が反発

コールドプレイ『マイロ・ザイロト』

昨年11月にEMIが音楽部門をユニバーサルに19億ドル(約1463億円)で売却し、著作権管理部門をソニーの関連会社に22億ドル(約1694億円)で売却することに合意したことが発表されたが、これに対してイギリスのインディ・レコード業界を代表するインディペンデント音楽連盟(AIM)はこの解体合併を阻止するキャンペーンを立ち上げたことが明らかになった。

今回の合併が発表された当初AIMでは音楽業界に関わる誰しもにとってこれが「いい報せではない」とコメントしていたが、ここにきて連盟の会員に書状を配布し、それぞれの会員に書状を地元の国会議員に託し、最終的にはイギリスの商務省が介入へと動くように働きかけていくという。

ミュージックウィーク誌では次のような書状の抜粋を紹介している。「数少ない巨大な多国籍企業の掌の中へと音楽市場が集中していくことは疑いなく市場での競争原理を損なっています。先頃明らかにされたEMI売却案がもたらす弊害はあまりにも大きいため、イギリスの連立内閣によって見直され、阻止されるべきで、野党勢力もこれに全面的に協力しなければなりません」。

さらに書状はこう続く。「この動きは間違いなく世界の音楽市場そのものをさらにユニバーサルとソニーというふたつの寡占的な企業に集中させることになるでしょう。この事実だけでも、唯一イギリスに残されていたメジャー・レコード会社を残された多国籍企業に身売りさせることに対してイギリス政府に見直させ、阻止させるに足る理由となるはずです」。

今回のEMIの分裂吸収合併が実現すると、1931年以来初めてイギリスから世界的な大手レコード会社が姿を消すことになる。EMIやその傘下のレーベルと契約しているアーティストにはコールドプレイ、30・セカンズ・トゥ・マーズ、ケイティ・ペリーらがいる。

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